金のたてがみを持つ馬



北欧神話にはグルファクシという馬が登場する。
その名前は「金のたてがみ」という意を持っている。グルファクシはスノッリのエッダの第二部、詩語法で、巨人フルングニルの所有する馬として登場する。
そのグルファクシは巨人の国の中で1番といっていいほどの名馬だったらしい。
だが、グルファクシに関しての記述を探すと、父から息子への感謝の意としてトールがマグニに与えようとしたことくらいしか目立ったものがないのである。しかも実際にトールからマグニへとグルファクシが与えられることはなかった。オーディンがトールの行動に制止をかけたからである。
だがあなたはそうではない。
あなたは金のたてがみを持ち、かつ崇高な──神すら傅けてしまうような──そんな、神よりずっと気高いあなたは、ただ取引に使われるだけの「見せかけ」の名馬とは違う。
レースの直線上、ゴールのラインへと弾丸のごとく突っ込んでいくあなたの黄金の残像は、いつだって世界を支配することができる。ただ背後をついて回る境界線は───
だれの目にも映らないのだと知った。例え、あなたでも。



2017/04/07
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