New World
正直に言って理解不能な事態である。
ついさっきまで自分の部屋でゴロゴロしていたらいきなり意識が遠くなってブラックアウト。現在私はどこか懐かしいような浮遊感の中にいる。
そして突然の息苦しさに襲われた。
―苦しい、苦しい、出してよ、ここから・・・―
頭上にわずかな光が現れた。
そして、
私はこの世界で初めて酸素を吸ったのだ。
目が覚めるとそこには美しすぎる外人さんが立っていました。
「あら、起きたのね。お腹がすいたのかしら。」
外人さんは私に向かって微笑むと、私を抱き上げた。
抱き上げた・・・・?え?無理じゃないですか?私一応高校生でしたよ。どんだけ力持ちやねん彼女!
住んだこともない関西の言葉が出てきてしまうくらいの脳内プチパニックを起こした私は思わず自分の手を見た。
―紅葉の手!!―
小さい、小さすぎる。これじゃあ赤ちゃんじゃん。・・・・赤ちゃん?
「イルマ!」
部屋の外から男の人の声が聞こえた。そして扉が開き、これまたイケメンな外人さんが現れる。
「ポルックス、お帰りなさい。早かったのね。」
「ああ、ただいま。・・・いや、違う!そうじゃない!この子名前決めたぞ!」
「え?本当?」
「ああ、この子の名前は、ヴァルブルガ。ヴァルブルガ・ブラックだ。」
「ふふ、素敵な名前。よろしくね、ヴァルブルガ。」
夫婦は私に微笑みかける。どうやら私はこの夫婦の長女として生を受けたようだ。
あれ?私前世で死んでないよ?なんで?
こうして私のヴァルブルガ・ブラックとしての人生が始まった。
・・・どっかで聞いたことあるのは気のせい?まぁ、いっか。眠いし。