02
どんどん落ちていく
下へ、下へ、果てしなく
上下がわからなくなるくらいに感覚がおかしい、もう叫ぶことすらできないほどに
「いつになったら終わりがくるの...?」
絶望的な考えしかできない、地面に叩きつけられたっておかしくはない
「誰かっ、...誰か助けて!!」
ふと、落ちる速度が緩まる。何事かと周りをキョロキョロと見渡すと、下から光が溢れる。眩しくて目を瞑ると、下に柔らかな感触
「あ...地面」
草がクッションになって生き延びたようだ。それにしても傷一つないなんて運がよかったのだろうか
(絶対危なかったわ...)
ふと、視界を過ぎる白くふわふわした耳
「あっ、待って!!」
何故か追いかけないと、と本能が言っている、どうして?
「げっ、見つかっちまった!?」
「えっ翔ちゃんっ!?」
振り向いたその相手はウサ耳のついた翔ちゃんだった。驚いて互いに動きが止まったかと思えば、彼の方が先に逃げ出していった
「な、なんなのアレ...」
私は暫く動くこともできなかった
―「翔ちゃんこれあげる」
「あ?何だコレ...っていらねぇよ!」
「えー折角なっちゃんに借りたのに」
「変なもん借りてくんなー!!」
ギリギリと握る翔ちゃんの手の中には、ふわふわとしたウサ耳カチューシャがあった
「...似合うと思ったのにな」
「やめてくれ...」
本当に嫌そうだったので少しだけ反省しよう、ごめんね?