03
「ついに来たのね...」
窓から寂しげな表情で廃れた街を見つめる少女は囁いた。その問いに答えるように男は言う
「お前、怖くないのか?」
ゆっくりと首を振ると、少女は寂しい笑顔で言うのだった
「これが私の運命だもの...ね」
「なまえ...」
ぎゅっと胸が締め付けられるような感覚に陥る、それほどまでに王女に親身に尽くしてきたのだ。王女を守るのもアリスが現れるまで...もうすぐその時がくる
「龍也から頭撫でられるの好きだったな」
「いくらでもしてやるよ」
そう言って優しく頭を撫でる。少しでも笑って欲しくて
「ありがとう」
嬉しそうにする笑顔の中には最期の時を覚悟した瞳が映っていて、それが彼女の意志なのだと悟ると、残された時間を少しでも笑顔で過ごさなければ、と思うのだった
(絶対に幸せになってくれ...)
―「ったく、お前は何回やれば覚えるんだ」
バコッと丸めた教科書で頭を叩かれる。地味に痛いんですがっ...!
「だ、だって、苦手なんです...ココだけはっ!!」
「覚える努力は?」
「してます!苦手なのそのままになんてできないから...」
「だったらやり方変えてみろ」
「...目から鱗!!!!」
頭上からはぁ、と先生の大きな溜息が聞こえたのは気にしないでおこう、...気にしちゃだめだ、うん。