09
セシルに出してもらった楽譜、それは昔私がピアノを習っていた頃に作曲したものだった。自分の夢だから、私が作った曲が出てきたっておかしくはない、でもずっとずっと忘れていたもの、いきなりそれが出されるなんてここは本当に夢の世界なのか疑問に思えて仕方ない
「これっ...私が書いた曲っ...」
「そうでしょうね、王女はアリスが作った曲しか歌わなかったのですから」
「アリス...俺達にはお前が何を忘れているのか分からないが、助けが必要ならば素直に言ってくれ、仲間だからな」
「そうだよ、もし忘れちゃったなら思い出す為の手伝いくらいさせてよ!」
じわじわと視界が滲んでいく。あれ、私なんで泣いているんだろう。ただの夢の世界だと思っていたのに、こんなにも懐かしくて、こんなにも温かい
「みんな、ありがとっ...」
「全く...アリスは昔から泣き虫ですね」
「そんなところもワタシは好きです」
「セシルずるい!!俺も好きー!!」
「お前達、少しはアリスの迷惑も考えてやれ」
みんなが笑っていて、すごく幸せな気持ちになる。一人一人の手をまとめてぎゅっと握り、もう一度「ありがとう」と言う。きっと私は何かを思い出すためにここに来たんだ、夢だけど、ここは現実世界。私にやれることをやらなくちゃ
―「おーいなまえー!!」
「ダメですね、起きる気配もありません」
「七海、なまえはちゃんと寝ているのか?」
「なまえちゃん、いつも決まった時間にちゃんと寝てますよ...でも、最近は寝すぎってくらい眠りが深いみたいで...」
「うーん、ちょっとレディが心配だね」
「ほんと最近寝てばっかじゃねーかこいつ」
遠くでみんなの声がする、あぁ起きなくちゃ、頭ではそう思っているのに、誰かに引き止められているみたいに目が覚めない。深い闇の中にずぶずぶとのめり込んでいるみたいに
「ぶるああああああああああ!!!!!!!!!!!」
「「「「がっ、学園長!!??」」」」
誰か助けて