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数日後、あの兄弟子達の叫び声が試衛館道場に響き渡る。

「何だこれはー!!」
「気持ち悪くて、触れねぇよ!!」

私はその声に口角が上がるのを感じながら、鼻歌混じりで洗濯物を干していた。

「…何笑ってるの真尋」
「え、笑ってる?」

訝しげな惣次郎に私はわざとらしく答える。

「何したの、君」
「別に〜?ちょーっとだけ砂糖水を拝借してあの人達の草鞋に塗っただけだよ?」

耐えると言いながらも、やられっぱなしは性に合わない。
だから私はささやかな悪戯を仕掛けてみた。
その効果は彼らの叫びが証明した。

「だから今頃草鞋が蟻だらけってわけ?」
「あたり!」

私がけらけら笑って答えると、惣次郎は呆れたような顔を一瞬見せ――すぐに吹き出した。

「あはは!それ最高だよ!何でやるとき僕を誘ってくれなかったのさ!」
「反対されるかな〜って」

腹を抱えて笑う惣次郎は既に涙目だ。

「するわけないよ。僕そういうの好きだし」
「じゃあ次は一緒に?」
「そうだねぇ…次は毛虫でも入れといてあげようか?」
「うわ!それ最悪!!」

草鞋いっぱい毛虫を想像してしまった私は、気持ち悪くて思わず顔をしかめた。

「全く惣ちゃんは恐ろしいことを考えますね〜」
「いやいや、大量の蟻を考えたまーちゃんも大概だと思うけどね?」
「まーちゃん!?!」
「僕が惣ちゃんなら真尋はまーちゃんでしょ」

なるほど。確かにそうなるよな……。
でもこう何ていうか…

「慣れないなー…」
「それは当たり前」





草鞋が毛虫だらけの男達の涙が混じった叫びが聞こえたのは数日後のことだった。

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