メイドの願い
「ベル、殺して」
「やーだ」

それは毎朝の光景。携帯ゲーム機を弄っているベルフェゴール様に対する名前様の言葉。ベルフェゴール様は画面から目を逸らすことなくそう言って名前様をあしらう。


「ベル、刺して」
「きょーひ」

それは昼の光景。昼食をそれはそれは上品に召し上がるベルフェゴール様に対する名前様の言葉。ベルフェゴール様は名前様の口に自分の嫌いな物を食べさせながら拒否する。


「ベル、失敗したい」
「むーり」

それは任務前の光景。ベルフェゴール様と任務を組まされるときの名前様の言葉。ベルフェゴール様は手に持ったナイフを弄りながら名前様に武器をもたせる。


「ベル、死にたい」
「だーめ」

それは毎晩の光景。ベルフェゴール様に愛される直前の#名#様の言葉。そして、ベルフェゴール様はベットに押し倒しながら#名#様に口付ける。

扉を閉めれば響き出す甘い声に、私達メイドは小さく安心の息を吐き出す。それはベルフェゴール様と名前様の一日が今日も無事に終わったことへの安堵から。

私たちの願いは一つ。どうか彼等が、一方を残して死にませんように。



彼らは一人で生きられない
どちらか一方が死んだなら、もう一方も生きる理由が無くなるでしょう。
katharsis