VS1


 世界中の機関と連携し、組織の中枢に襲撃をかけたのが数週間前。組織は壊滅状態に追い込むことが出来たが、構成員を全て捕縛できた訳ではない。絶対安静のコナンのもとへは、数日おきに組織の末端と思われる者が訪れていた。コナンは信頼できる仲間とともにそれを上手く撃退し、なんとか生き延びていた。
 すべての事情を把握し、コナンが信頼を置いているのは、FBIと公安警察のほんの一部。加えて、相棒の少女と、白い怪盗と、高校生探偵のみだ。主に協力を仰いでいるのはFBIだ。まだ組織の存在を公にするわけにはいかないことからも、日本の警察には伏せている。
 残党狩りが順調に進み、コードネーム持ちが現れ始めたころのことだ。コナンは自らを囮にした危険な作戦を立てた。このままでは、守りたい者たちへの被害が抑えきれないと判断したのだ。
 情報操作して残党をおびき寄せ、一網打尽に――そう思っていた。

「あんたが出向いてくるとはな……!」

 現れたのは、ボスの側近・懐刀として知られている女だった。
 黒いブラウスに黒いスカート、黒のトレンチコート。罠だと分かっているだろうに、随分軽装だった。
 コナンは、組織の幹部を調べるにあたって、もちろんガヴィのことも聞いている。仕事を共にしたことがあるのはライが一度だけだったが、その実力は組織全体に知られている。小細工が一切通用しない、とんでもない強敵であると。
 事実、大規模作戦時は多数のエージェントが殺された。コナンが戦闘の様子を目にしたわけではないが、遺体の傷から、ガヴィであると判断されたのだ。断言したのは、大規模作戦前からコナンらに協力しているベルモットである。
 ガヴィに遭遇したら、まともに応戦してはならない――その評価が決して過言ではないと痛感する。彼女は数々の罠をさらりとかわし、時に応戦し、前を閉めたトレンチコートを乱すことなく、コナンらの前までやってきたのだ。途中、一丁の拳銃を弾き飛ばせたのは僥倖だが、持っている銃がそれだけとは到底思えない。
 ガヴィは、FBIやコナンと距離を開けて立ち止まる。大きな作戦だが、コナン以外の護衛の面からもここにいるのはFBIのみだ。キールやバーボンの姿はない――が、ライはFBI捜査官として作戦に参加している。ガヴィはそれを目ざとく見つけたらしく、しかし驚いた様子もなく問いかけた。

「久しぶりだな、ライ。結局生きてたみたいで何より」
「そっちこそ、大規模作戦の時にもしや死んだと思ったが……生きていたか」
「ベルモットがいないのは分かるけど……バーボンとキールは?まだ生きてたと思ったけど」
「……やはり、気づいていたんだな。彼らがスパイだと」
「当然だろ。ああ、他の護衛か」

 いきなり戦闘をはじめる気はないらしい。組織には珍しい、話が通じるタイプである。コナンが一歩前に出ると、ガヴィはすいと視線を動かした。本気を出すのか、コートのボタンを開けている。

「……あんたほどの大物が出向いてくるなんてな」
「歓迎してくれてありがと。けど、ま、甘く見ないでほしいよね」

 ガヴィは敵意も殺気も感じさせない。世間話のような声音で言い、体を一歩右にずらした。
 ――チュン、と。標的を失った弾丸がアスファルトに刺さる。ガヴィは後方からの狙撃を躱して見せたのだ。
 コナンは、作戦会議時にライの言っていた意味をこれ以上なく理解した――彼女に狙撃は無意味だ、俺はその役目を負うつもりはない、と。
 FBIの狙撃が戦闘開始の合図だった。ブレインであるコナンは後方に隠され、人や車の隙間からガヴィを睨むこととなった。
 ガヴィは狙撃を避けた動作から、流れるようにライフルを取り出す。おそろしいことに、裸のライフルをコートの中に隠し持っていたらしい。監視カメラ映像では、そんな素振りはなかったはずだ。十キロ近いものを平然と持ち運んでいたことになる。
 なぜ、ここでライフルなのか?コナンは眉を寄せたが、冗談のような考えが浮かび口元をひきつらせる。ガヴィが片腕で、ライフルを拳銃のように構えた時、それが冗談ではないと知った。
 ――彼女は、この場所から、不安定極まりない体勢で、FBIの狙撃手を撃つつもりなのだ。
 ライフルはそう易々と片腕で持ち上げられるものではない。体全体を使って支え、安定させるか、地面に置いて伏せた状態で撃つか、そういうものだ。
 狙撃された方向から狙撃手の位置を割り出せるのは、分かる。コナンもよく行うことだ。狙撃手自身、そういったデメリットを理解しているからこそ、狙撃に失敗すれば場所を移動するのがセオリーである。だから狙撃に遭遇した場合、ポイントに向かって急いで移動する。

「さすがに、急所は厳しいけど――ライじゃないなら、僕でも届く」

 ライフルを構え、スコープを覗くこともしない。けれど確かに意識は逸れており、好機とばかりに地上の捜査員が発砲する。コナンは銃声に顔をしかめ、このあとの結末を思って唇をかんだ。
 犯罪者だとしても、殺しは許容していないのだ。ここに現れたのが組織の末端員だったなら、腕や足を狙って無力化するつもりだった。けれど、ガヴィ相手にそれは命取りである。ライやキールやバーボン、ベルモットに忠告されていたコナンは、発砲を止めることが出来なかった。
 しかし、コナンの葛藤は裏切られることになる。
 ライフルの方向に顔を向けていたガヴィが、反対の手で銃を取り出していたのだ。捜査官が発砲するよりも早く、ガヴィは遠い標的から地上の捜査官へ視線を戻す。
 ガヴィのライフルが火を噴き、各々の銃が鳴るのはほぼ同時だった。だが、その結果は――最前線にいた三人の捜査官が即死。瞬殺された捜査官の無残な姿に吐き気を覚えてしまう。
 ガヴィはライフルの照準をコンマ数秒で合わせ、捜査官よりも遅くに銃を構えたにもかかわらず、誰よりも早く正確に発砲してみせたのだ。しかも、無傷で。

「嘘だろ……!」

 頼れる仲間たちのお陰で人外じみた所業には慣れているつもりだったがのだが、恐怖せずにはいられない。
 お前のような人殺しは絶対に許さねえ――そう思っているのに。圧倒的な技術に、死を覚悟する。
 コナンとしては珍しくも、敵を前にして逃げ道を考えてしまっていた。シャツの胸のあたりを握り、自らを奮い立たせる。
 己を見失うことはなかったが、自然と<これ以上被害を大きくせずに撤退する方法>に思考が傾く。

「仕事は一人でこなしてしまうから……俺もここまでだとは思わなかったが」
「赤井さん、撤退を、」
「いや、それはまだ早い。ボウヤは隠れているんだぞ、これは俺たちの領分だ」

 コナンは傍に控えていたライによって、車に押し込められる。ライは他の捜査官と同じように車のドアを盾にして、ガヴィの様子を窺っていた。
 こんなところにガヴィが来るのは予想外だったが、大規模作戦の折、ガヴィの対処法は既に周知されている。銃の技術は高く、回避も正確なため狙撃は無意味。だが、本人は肉弾戦が得意ではないらしいのだ。一般人を組み伏せることはできても、訓練を受けたエージェント相手では歯が立たないだろう、と協力者は口をそろえていた。
 子供の体であり、怪我も完治していないコナンに拳銃は扱えない。ガヴィの銃を弾き飛ばすか、弾を全て出させるか、それはFBIの役目だった。ガヴィから銃を奪えば、あとは肉弾戦に持ち込むしかない。幸い、ライはジークンドーの達人だった。
 コナンは発砲音と、叫ばれるFBI捜査官の名前を聞きながら、車の運転席の足元で身を守っていた。コナンには今、追跡メガネと腕時計型麻酔銃しかない。シューズやベルトを持っていない、というよりは、全ての道具が先の作戦で大破しているため、眼鏡と腕時計しか修理が間に合わなかったのだ。
 大規模作戦でも、大勢の仲間が命を落とした。今も、コナンがじっとしている間に、被害は大きくなっていく。
 何か道具があれば、俺も――。そう考えてしまい、唇を噛む。今の自分にもできることはあるはずなのだ。ブレインである自分は、考えることを止めてはならない。

「考えろ、考えろ……何か……。そもそも、あいつがここへ来た目的はなんだ?わざわざ罠へはまりに、しかも一人で」

 現状を見るに、損害が大きいのは明らかにFBIで、罠を逆手にとられた襲撃、とも考えられる。しかし、そうだとするならば、ガヴィが一人である必要はなかったはずだ。――足手まとい、ということだろうか。そう考えるのが妥当である。
 ならば、なぜ、今なのか?コナンの命を狙うならば、病院を襲撃するのが手っ取り早い。コナンらとて悠長に療養しているわけではないので、今までも組織の構成員をとらえているのだが、ガヴィが病院を襲撃する場合を考えるとぞっとしない。
 病院を襲撃せず、今、罠と知りながらも対峙している理由は――?
 
「!……いや、だがこれは……」

 一つだけ浮かんだ可能性は、希望的観測過ぎた。証拠も、本当の目的もはっきりしない。こんなものは推理とは呼べないかもしれない。根拠のない推理は、戯言と同じなのだ。
 コナンは厳しい顔つきで、座席の足元から立ち上がる。ライが何か言いかけたが、構わずに備え付けのマイクを握った。スピーカー状態になっていることを確認して、努めて静かに息を吸う。
 コナンの位置からは、ガヴィをうかがうことはできない。FBI対応を見る限り、未だぴんぴんしているらしい。
 一度深呼吸をして、震える喉を落ち着かせる。取り繕うことには自信があった。
 
『――ガヴィ、話をしよう』

 根拠のない推理でのはったりだ。
 コナンの声が一帯に響き、自然と銃声が止む。FBI捜査官は身をひそめ、ガヴィも引き金を止めた。
 コナンはマイクを握ったまま、外へ身を乗り出す。捜査官が車に身を隠しているためか、低身長のコナンでも辛うじてガヴィを窺うことが出来た。
 コートを脱ぎ捨てているガヴィは、ライフルも捨てており、右手の銃だけを前方に構えていた。二丁の拳銃を収納できるショルダーホルスターは二つとも空いており、一つは今持っているもの、もう一つはここに来るまでで手放したものだろう。
 
『自分でも馬鹿げていると思うけど……あなたの目的が、ボクとの対話っていうなら、ボクは応じるよ』
「なあ、なんでそう思った?僕がここまでお喋りしに来たと」
『目的は知らない。けど、病院を襲撃することとここでの戦闘の違い……ボクが逃げられないことと、あなたが捕まっても猶予があること、この二つくらいでしょ。病院だと、捕獲したら速攻で連行されちゃうから』
「ふーん……。変装して病室まで侵入して、銃を突き付けて対話を要求したかもよ?」
『変装に関しちゃ、こっちにもスペシャリストがいるんだ。今まで変装が通用してないってことくらい、聞いてるだろうし』
「……それで?」
『それと、最初……狙撃を避けた後だ。あの時、ボクからあなたが見えていた。つまり、ボクは殺せる位置にあったことになる。でも、そうはしなかった……ボクが死んだら困るのかと思ったんだよ』

 言い切ると、ガヴィは口の端を上げたようだった。当たらずも遠からず、と言ったところだろうか。
 コナンは汗でマイクが滑らないように握りしめ、ガヴィの言葉を待つ。その隣で、ライはガヴィの早撃ちに対応できるようにと神経を尖らせていた。
 銃撃戦が嘘のように静まり返っており、極度の緊張につつまれる中――コナンの言葉にガヴィが返したのは、声ではなく。

「うん、ならそっちに行こう」

 ガヴィは発砲を再開した。空いている左手でさらに銃を持ち――左太ももにも仕込んでいたらしい――同時に黒い箱のようなものを一つ宙に投げる。右の銃からの弾は、FBIが隠れているドアに命中する。
 コナンはライに無理やり伏せさせられ、マイクを手放してなんとかガヴィの動きを追う。
 右の銃を威嚇射撃として使ったらしいガヴィは、空中の黒い箱――マガジンをすくうようにして装填し、両手に銃を握って駆けだした。どういう神経をしているのか、弾を正確にかわし、威嚇射撃をはさみ、数人のFBI捜査官を絶命させる。車のボンネットをかけあがり、身を隠すものが一つもない中を躊躇いもせずに走るのだ。
 ライがコナンを背に庇う。するとガヴィは片方の銃口をライに向かって固定した。

「ッ……」
「赤井さん!」

 正確に急所を狙う銃弾を避け、そのためにライとコナンの間が開く。ライが体勢を崩した瞬間、車の屋根を走っていたガヴィが、コナンとライの間に滑り込む。しゃがんだ体制で制止したガヴィは、同時に銃を構えていた。

「止めなさい!!」

 ジョディの声が響き、再び静寂が訪れる。
 ガヴィは変わらず、二丁の拳銃を握っている――左の銃はコナンに。右の銃は、右肩に乗せるようにして背後のライに向けられていた。

「ああ、そうだな。ここでシルバーブレッドを失うわけにはいかないもんな?」

 ガヴィの銃の標的が決まっているこの瞬間ならば、ガヴィに発砲しても、脳天を打ち抜かれるようなことはない。だが、ガヴィに着弾するよりも、ガヴィがシルバーブレッドたる二人に発砲する方が早い。組織壊滅に必須の人材を、みすみす失う訳にはいかなかった。
 コナンにまっすぐ銃を向ける女は、穏やかに笑みを浮かべている。沈黙しているとはいえ、数多の銃口を向けられている人間の態度ではない。
  コナンは腹の底が煮えるような怒りと、常識はずれの実力を見せつけてくる女への恐怖とで、震える唇を噛む。目の前の怪物に、完全に呑まれてしまっていたが――はっとして、睨むようにガヴィを見据える。彼女は、確かに対話を否定しなかったのだ。

「で、俺に、話って、なんだ」
「聞きたいことが、一つある」

 キャンティのような愉快さも、ベルモットのような妖艶さも、ジンのような危険さも、ガヴィは持ち合わせていない。小柄な体躯で、日本人顔で、とても犯罪組織の構成員とは思えない風貌だ。たとえシリアルキラーとして自首してきたとしても、容易に信じられないだろう。
 どちらかというと、守られる側の人間に見えた。
 銃口をコナンの鼻先から逸らさずに、ガヴィは少しの間口を閉じた。何か、迷っているように見える。コナンを見据える目にも、人殺しらしからぬ揺れが見えた気がした。

「……死んだのか?」
「だれ、が」
「――シンデレラは、本当に死んだのか?」

 冷たい目の奥に見えた人間らしさに、コナンは息を止めた。
 
『はあいクールキッド。五体満足でなによりね』
『正直、俺も生きてることにびっくりしてる。最高の結果、とはいかなかったけど、成功とは言えるんじゃねーか?』
『……シンデレラが生きていたら、良くて相打ちだったでしょうね。もっと多くの人が死んでいたわ』
『シンデレラ?』
『あなたも知ってるはずよ?コードネームはキュラソー、東都水族館で死んだそうじゃない』
『……ああ、覚えてる』

 忘れるはずがない。組織を裏切り、コナンの友人である子供たちを守った女性。コードネームをキュラソーという組織幹部は、あの時、がれきの下で命を落とした。遺体はひどく損傷し、身元確認が不可能なほどだったが、コナンは、緩やかな銀髪と焼け焦げたキーホルダーを確認している。
 そういうことか、と。大方のことに合点がいった。

「キュラソーが守った子供たちを傷つけたくないから、病院を襲撃しなかったんだ……」

 独り言のように呟くと、ガヴィは空気を少しだけ緩めた。

「僕もある程度は調べてるからね。あの時、子どもがいたっていうのはすぐ分かった。……それが裏切りの理由だっていう確証はなかたけど、きみの反応を見るに間違いではないらしい」

 あの子供たちは入院していないが、昼間、よくお見舞いに訪れる。相手はコナンであり、シェリーでもあり、西の探偵でもあり、顔見知りの大人たちでもあり。
 さらに、子ども、という漠然としたくくりが、ガヴィにとって問題だったのだろう。年下をまとめて表現したのならば、入院している怪盗や探偵も含まれるのだ。面会時間後に、コナンの病室に忍び込めたとしても、彼らは必ず駆けつける。
 キュラソーの安否を確かめるために、彼女は、子どもがコナンしかいないこの機会を逃すわけにはいかなかったのだ。

「……キュラソーがいなかったら、もっとたくさんの人が死んでいた」
「その他大勢は知らない。僕は、キュラソーを無駄死ににしたくないだけさ」

 何か特別な関係だったのだろうか、と思わず勘ぐる。
 コナンはこの状況に順応し始めたことを自覚して、人間味のある目をした人殺しを見据えた。

「……ねえ、ボクからも一つ聞いていい?」

 どうぞ、とガヴィは首を傾ける。

「なんで――防弾チョッキ着てないの?」

 コナンは地面についた手の、生暖かい感触にそう尋ねた。胴に銃弾を受けているらしい彼女は、体勢こそ崩さないが、徐々に顔色が悪くなっているのが分かる。
 彼女と正面から向かい合っているコナンだからこそ分かったことだ。周囲の捜査官の表情が驚愕に変わる。

「アレ、動きにくいから嫌いなんだ」
「死ぬつもり、なのかよ?」
「安心しろ、きみより先には死なんよ」

 銃口はぶれないが、出血量から危ない状態であることは明らかだ。死ぬつもりはないというが、ここからどうやって逃げおおせる気なのか。
 これなら確保できるかもしれない。殺さずに済むかもしれない。
 コナンが希望を見出した時――ライが、引き金を引いた。
 おそらくライが指に力を込めた段階で、ガヴィは気づいて行動していた。銃声が響くよりも前に地面を蹴り、ライへ向けた銃の引き金を引く。万全ならばライの命を奪っていたであろう銃弾は、耳をかするにとどまった。
 腹部からの出血で何もかもが鈍っている中、発砲に反応してかつ反撃してみせた姿勢は称賛したくなる程だ。

「――ッソが!!」

 対して、ライが放った銃弾は――ガヴィの右足首に命中していた。
 ガヴィは回避し損ねた体勢で地面に伏した。起き上がろうとしたところをすかさずライが抑え込み、ガヴィの拳銃を離す。
 数秒の駆け引きに呆気にとられたコナンは、ライがガヴィのスカートをめくって右足の銃を奪ったところで、我に返った。拳銃四丁にライフルとは、ガヴィは武器商人か何かか。
 捜査官が一斉に動き出してガヴィを確保する中で、コナンは脱力し――情けないことに、そのまま意識を失った。

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