羨ましかったの


確かに没個性だと言われて、腹が立った。

それと比例して、彼のヒーロー向きな個性がキラキラして見えて羨ましかったのだ。

『私も…、ごめん』

『派手な個性に憧れてた。どうせ個性にかまけてるやつなんだって思ってたけど…』

ゆっくり横に寝転がる彼に目をやり、
その頬に触れた。

「っ!!」

『意外に真面目なやつなんだね』

自然と伸びた手に彼の体温を感じ、
ニカッと微笑んだ。

「ヒーローになるんだから、当たり前じゃねぇか!」

触んなよ、っと頬についた手を軽く叩かれた。

『ええー、なに照れてんの』

「お前おれにその個性使うなよ!クソッ」

『え?なに?いま個性使ってないけど?』

「はあ?嘘つくなよ、だって…」

バッと起き上がり、自分の心臓に手をあてる爆豪。

『へんなのー』

いつもと違う爆豪の姿に、腹をかかえてわらってやると
「うるせぇ!」と言って、手を差しのべてきた彼の手をとり起き上がった。

『今日は会えてよかった。また明日ね』

「じゃあな」


全力疾走をしたせいか、その日はシャワー浴びてすぐに布団に沈むように寝てしまった。