目が覚めると、そこには白い天井が広がっていた。
『…わたし……』
「目ぇ、覚めたかよ」
『爆豪…』
ぼんやりとしたまま、声のした方へ顔を向けるとそこには眉を歪ませた彼の姿。
『気絶しちゃうとか…情けないね』
「んな事ねぇよ。動けんのか?俺が送ってやる」
『ふふ、今日は優しいんだね』
「減らず口か」
ペシッと軽く頭を叩かれたが、
なんだか今日の事が夢だったように思えてしまい頭がふわふわしたままだ。
保健室にいたリカバリーガールにお礼を言い、
制服に着替えている間、爆豪は私の荷物を取ってきてくれた。
「オラ、帰るぞ」
ぎゅうっと引かれた爆豪の手は、
とても温かくて心地がよくて…
爆豪も手を離さないから、
そのままで二人は夕暮れの帰路につく。
校門を出て、「家はどこだ」と聞かれただけで特にそれから会話もない。
私もただ黙って彼の後ろをついていく。
学校からそんなに遠くはない私の家。
あっという間にアパートの前までついてしまった。
『送ってくれてありがとう』
黙ったままの彼の手から離れようと力を抜くと、
逆に強く握られ離れない。
『…爆豪?』
「お前がっ…!」
お互い正面を向いたまま手を握っているという不思議な状況。
「お前が、俺の前に立ったとき…このへんがすげぇ苦しかった」
手を繋いでないほうの手で心臓付近のシャツを握る爆豪は言葉を続ける。
「お前があのまま死ぬんじゃねぇかと思ったらすっげぇ嫌だと思っちまった」
彼の整った顔が、真正面で私を見つめる。
「無力な自分がすげぇ嫌だった」
『違うよ!』
『私は!あの時、あの瞬間に立ち向かっていった爆豪がいたから!』
(そうだ、あのときの彼の行動がなければ私はあのまま動けずにいた)
負けん気が強いから?
ちがう。
爆豪たちと張り合っていた訳じゃない。
爆豪が、目の前の彼が殺されてしまうと思ったから体が勝手に動いた。
失いたくないという本能で…
自分の中のモヤモヤが晴れると同時に、
今度は私が彼の手を力いっぱい握りしめる。
「俺は…」
『すき』
「…っ!」
つい、口から接いでた言葉。
頭に浮かんだ言葉がそのまま口からあふれでた。
『私、爆豪が好き』
一瞬にして真っ赤に染まる彼の顔。
その表情をみて、自分が発した台詞に気がついた。
『あっ!いや…っ!ちがっ…くないけど!ちがう!別にいま言うつもりじゃっ……!!』
バッと手を離し、両手を全力で横にふる。
(ちょっと待って私なにいってんの!!)
顔から火が吹くんじゃないかってくらい、
ポッポッと火照っているのを感じた。
『っ…!!いっ!』
ドンッという衝撃と共に、爆豪の胸に収まる名字
肩には彼の腕が回されていて、
一瞬の出来事に頭が真っ白になる。
「俺も…」
『…へ?』
「俺もテメェが好きだ」
「俺と付き合え」