「ねえ、今日もトムはかっこいいと思わない?」

ハッフルパフの談話室で、親友のサラがそう口にした瞬間、私は反射的に手を握りしめてしまった。
メリッと音がして、手元の羽ペンを見るとヒビが入っていた。
ああ、どうしてこうも。

「やめとけってサラ。こいつ、リドルのこと大っ嫌いなの知ってるだろ」

エディがニヤニヤしながら私の肩を小突いた。
イラっとしたので、机の下でエディの脛に蹴りを食らわせてやった。
エディは同じハッフルパフとは思えねー!と叫んでギロリと私を睨む。
ふん、ほっとけ。
それにその言葉はブーメランだ。

「あ、そういえば。ねえなまえ、どうしてそんなに毛嫌いするの?私は不思議でしょうがないわ」

金髪のきらきらした髪を揺らして、サラは上目遣いに私を見た。
ううむ可愛い。
手元の羊皮紙に視線を落としてから、周りを見渡す。
トム・マールヴォロ・リドルのファンとその本人がいないことを確かめてから、声を潜めて言う。

「まあ、なんとなく、性格が合わないだけ。嫌いなわけじゃないよ」
「本当に?」
「ほんとほんと。それより、ほら課題やらなきゃでしょ。エディなんか次忘れたら元気爆発薬のませるって先生に言われてたでしょ」
「う、なまえ頼む!課題写させて……!」

そういってエディはプライドもへったくれもなく両手を合わせて頭を下げてくる。
やればできるのに、なんでちゃんとやらないんだろ。
ため息を吐いてから頷くと、心の友よと叫びながら抱きついてくる。
まったく、どこのガキ大将だ。


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