Chapter15 〜胎動〜
翌日。
元流斎から緊急の伝令が入って藍染の狙いが王鍵の創成である事を知らされた。
私としては今更なのだけれど。
そう言えば言ってなかったなぁと物思いに耽っていると、案の定怒られた。
「何故言わなんだ」
「あはは…忘れてた、かな」
「馬鹿もん!浮竹が痕跡を見つけたから良かったものの、みすみす見逃す所じゃったのじゃぞ!」
「まぁ、気付けたんだから良いじゃない。
それと、マユリさんが上げた崩玉の熟成期間だけど。関係無いよ。
あれは隊長格に倍する霊圧を送る事で一時的に完全覚醒と同じ状態になる。
決戦は冬なんかじゃ無い。もういつ仕掛けてきても可笑しくないよ」
その言葉で、その場にいた冬獅郎も乱菊も修兵も、元流斎までもがピシリと固まる。
「それこそ早う言わんか!」
「だから早いうちから修行付けてあげたんじゃない」
「分からぬわ、この小娘が!」
「お爺様、お口が悪う御座います」
「ふざけておる場合ではない。敵の戦力が整っておると分かった以上、先遣隊の面々は即時帰還し…「あ、まだそれは駄目」何故じゃ」
「後で報告するから。織姫は今其方に居るよね?」
「朽木と共に戻って来ておる」
「了解。もう一度、襲撃がある筈だから。帰還すると此処が危ないの」
「…左様か。お主、もう少し詳しく報告を入れよ」
「はぁい」
「ならば良い。先遣隊はもう暫し現世の守護に当たれ」
「「「はい」」」
ふつりと通信が途絶えて、乱菊と修兵が不思議そうな視線を向けてくる中、私はしれっと部屋を出た。
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