Chapter16 〜虚圏〜





最早ボロボロになったノイトラを前にして、未だ立ち上がる彼に一護は溜息まじりに告げる。


「もう止めろよ、お前。何でそんなになってまで戦うんだ」


「煩ぇ!俺が最強…最強なんだよ!!祈れ“聖哭螳螂(サンタテレサ)”!!」


霊圧が爆煙を上げ、腕が六本になったノイトラの腕から、形の変わった鎌が出て来る。

帰刃した事で傷の癒えたノイトラに、一護は虚化して霊圧を全開にする。

刀剣解放しても未だ、一護の方が霊圧は上。

当然だ。

元々高い潜在能力を持っていた所に、玲が力を加えたのだから。

霊圧だけなら、冬獅郎や白哉よりも高い一護が虚化した状態に、只の破面なだけのノイトラが勝てる見込みはない。


「月牙、天衝」


仮面の所為でくぐもった声で一護が呟く。

瞬間、辺りの建物全てが爆散した。


吹き飛んだノイトラに瞳に、緑の髪の、仮面に罅の入った子供の破面が映る。


「…ノイトラ…」


小さなネルの呟きが、静かになった其処に妙に響いた。



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