Chapter17 〜決戦〜





「準備は出来たかい?要」


「はい、既に整っています」


「なら行こうか。空座町へ」


藍染が動き出す。

けれどそれも計算の内。

王座の間に開いた黒腔の前に藍染、市丸、東仙の三人が立った。


「要。天挺空羅を」


「はい」


東仙が小さな道具を投げる。

それが宙で彼の腕に紋を描き、縛道の七十七、天挺空羅が発動する。


同刻、一護や石田、茶渡、恋次、ルキア、白哉に冬獅郎が、はっと顔を上げた。

侵入者の中で唯一それに掛からなかった玲は、すっと目を閉じて、事象の情報を読み取る。


「聞こえるかい、侵入者諸君」


皆が一様に神経を集中させる。

藍染の、最も忌むべき相手の言葉を聞き漏らさないように。


「此処まで十刃を陥落させた君達に敬意を表し、先んじて伝えよう。これから我々は現世へと進行する。井上織姫は第四の塔に置いておく。彼女は最早、用済みだ」


「用済み、だと…?」


ノイトラを倒した直後の一護は、状況が理解できずに織姫の居場所を霊圧で探ろうとする。


「彼女の能力は素晴らしい。事象の拒絶は、人間に許された力の限界を遥かに凌駕する力だ。尸魂界上層部は彼女の能力の重要性を理解していた。だからこそ彼女の拉致は、尸魂界に危機感を抱かせ、現世ではなく尸魂界の護りを固めさせる手段たり得た」


はっとして一護が思い出す。

あの時の元流斎の言葉を。


―破面の戦闘準備が整っていると判断した以上、日番谷先遣隊は即時帰還し、尸魂界の守護について貰う。


「そして彼女の存在は、尸魂界の新規戦力となるであろう死神代行を含む旅禍を虚圏へとおびき寄せる餌となり、更にはそれに加勢した二人の隊長をこの虚圏へ幽閉することにも成功した」


藍染の言葉に、冬獅郎が地面に手を付いて確認するも、通ってきた黒腔が閉じている事を確認するだけに終わる。


「護廷十三隊の素晴らしきは十三人の隊長格全てが主要戦力足り得ることだ。しかし今は三人が離反し二人が幽閉。尸魂界の戦力は半減したと思っていい。容易い。我々は空座町を消し去り、王鍵を創生し、尸魂界を攻め落とす。君達は全てが終わった後、ゆっくりとお相手しよう」


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