Chapter3 〜特別〜





ぷすぷすと焼け焦げた天井が落ちてくる。

どうにか霊圧の制御に成功した砕蜂は直様昏倒。

同じ瞬閧で反鬼相殺した私がちらりと周りを見渡すと。

始界の炎に包まれてこめかみを抑える元柳斎と、氷の龍で防御したらしい冬獅郎と、白哉の前に盾を造る桃色の刃。


「いやぁ、凄い威力だったねぇ」


ひょっこり冬獅郎の後ろから顔を出した京楽が、場に似合わぬ声音でへらりと笑う。


「すまない、朽木、助かった」


「有り難うございます」


そう言って白哉に頭を下げるのは浮竹と、卯ノ花。

後は…瞬閧を斬ろうとしたのか、剣を構えて仁王立ちのまま、真っ黒に焦げた更木と。

液状化した涅、何故か無傷の狛村だった。


「…わぁ、大惨事?」


「他人事じゃねぇ!」


ぽつりと呟けば、冬獅郎に突っ込まれて、から笑いする。


「えぇ…これぐらい、同じ隊長格ならどうにかなるでしょ?」


冬獅郎に向けて愚痴れば、側の液体から声が響いた。


「何だネ、その言い草は!私を馬鹿にしているのかネ?!」


「あ、そっか。マユリさん、戻して欲しい?」


「君に借りなど作りたくないヨ!全く…今度あったら実験体にしてやるからネ!」


「あは。出来るものなら、やってみて」


「馬鹿にするのも大概にしないかネ!全く、失礼するヨ」


そんな言葉と共に、するすると部屋の隙間から抜け出ていく緑の液体。

結界で消滅したら可哀想だから、ちゃんと解いてあげた。

それを厳しい目で見送る白哉を横目に、序でで巨躯に手を翳す。


「”癒しの光”」


黒焦げで棒立ちの更木を治療して。


「総隊長。懲りたよね?」


にっこりとお爺ちゃんに笑いかけると。

斬魄刀を鞘に収めながら、溜息を吐いた彼はしかし、重々しく頷いた。

序でに、隊長クラスより下の死神には、色々内緒だよ?と言い含めて。

気絶した砕蜂を卯ノ花さんに預けると、私は一番隊隊主室を後にした。



- 37 -


<*前><次#>


栞を挿む












ALICE+