勲章を棄てよ


『テンタクル島』龍舞市から玉兎を追う末、
スタンダード次元という別の場所に飛ばされてしまった。
どうやら、この右腕のブレスレットのせいらしい。

なにもないスラムに降り立った私は、
まず情報収集を行うことにした。

「それでオレが取った行動は…」
「ブラックホールで相手を殲滅!!」
「oy yes!!」
「さすが沢渡さん!!」

「ん?あいつ、どこかで見たことが有るな」
「遊勝塾の柊柚子ッスよ」
「どれ、ちょっと声をかけてやろうじゃないか」

「オイ、オマエ柊柚子!!オマエだっつの!!」
「…私は柊柚子という名ではない」
「あれ…?そう言えば髪の色がちょっと違うかも…」
「私の名前は月兎ヤミ。お前たち、玉兎という人物を知らないか?」

「ぎょくと…?知らないねえ」
「そうか。ならば用は無い」

「俺様達の城にもぐりこんでおいて土産モンの1つも持ってないとは無礼だぜ?
ここはいっちょデュエルでもやってかねえか?」
「五月蠅いやつだ。ボンクラに構っている暇はないと言っているんだ。
だがこの次元のデュエリストの腕前を見るには打って付けの機会かもしれないな。
いいだろう、受けて立つ」

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!!」
「モンスターと共に地をはり宙を舞う!!」
「見よ、これがデュエルの最終進化系――――」

《アクション、デュエルッ!!!!》

「猛攻たる炎よ、外交たる雷よ、その勇敢なる意思で誠を貫き通せ!!
儀式召喚、荒魂(あらみたま)勇(いさみ)!!」

『氷上の社』の効果で荒魂(あらみたま)勇(いさみ)は降臨。
攻撃3000  守備2400
このカード以外の魂と名のついたカードがフィールド、墓地に存在する時
このカードの攻撃力をそれらのカードの数×500ポイントアップする。

「月兎ヤミのフィールドと墓地には和魂(にぎみたま)親 (しん)
奇魂(くしみたま)智 (とも)がいるってことは、攻撃力…よ…4000!?」

「王宮のお触れで沢渡さんの罠カードは封じられているから…
このカードの攻撃が通れば…」

「うそうそうそ、うっそーーーーーーん!!!!」

LIFE――――0
「手応えは、あるか」


髪をなびかせ、虚無だったスラムに戦いの旋律を轟かせた彼女は姿を消した。
その行く末を知るものは、誰もいない。



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