狐に導かれた者


 

瑠璃を探していた隼とユートは思いも寄らないものを見た。
極彩色の和装、揺れる黒髪。
その瞳は七色に輝く。
そして、左右に連れているのは白と黒の狐。


「何者だ、アカデミアか?」

「……アカデミア?」


心底訳が分からないというように和装の少女は眉をしかめた。
ユートと隼を見て、少女はため息をつく。


「お前たちから名乗るべきではないのか?」

「俺はユートだ」

「黒咲 隼だ、瑠璃はどこだ!」

「瑠璃?」

「とぼけるな!!俺の妹だ、貴様らアカデミアがさらった…!」

「……アカデミアではない。ワタシは天神 やよい。Viceのメンバーだ。今度はワタシからお前達に問おう。…愛鳳様をご存じないか」

「…Vice!?」


隼の顔色が変わる。
Vice。
すなわち、どの次元にも所属しない美しい悪の集団。
皆、別の召喚法を用いて美しくも残酷なデュエルを繰り広げる。
その中でも、実力、指揮力、美しさを兼ねた愛鳳という少女が司令官をつとめる。
そして、そのうちの儀式召喚を用いるのが、儀式次元の最高権力者にして月詠“神帝”月琴の少女。


「いや、知らない」

「そうか、ならば用は……」


一歩踏み出そうとしたとき、少女−−やよいは前に倒れた。
地面に伏すその直前、隼の手がやよいを支えた。


「隼…」

「助けるしかないだろう。…Viceとなれば何か瑠璃に関する情報を知っているかもしれない」


 

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