思う気持ち
「……」
「何をしている?」
「隼…」
「ユートが戻ってこない、もしかしたら、アカデミアに…」
「ワタシは愛鳳様に会えるのであればアカデミアに連れて行かれてもかまわない」
「何を言っているんだ!」
隼がやよいの胸ぐらをつかむが、その手は力なく下ろされた。
隼が見たやよいの瞳がそれほど愁いを帯びていたのだ。
愛鳳という人物に会いたいと願うやよいと瑠璃と再会したいと願う隼の思いは同じだからだ。
「……ほかのメンバーは無事だろうか」
「Viceの、か?」
黒咲の問いかけにやよいはうなずく。
やよいのほかに主力のデュエリストが3人、その他に3人、愛鳳に親しい人物がいるというのだ。
「おそらく、アカデミアに捕まってしまったのだろうな。……ワタシは捕まるわけには行かないんだ。破壊された故郷の復興、白亜の島は、もう戻らないのだから」
「白亜の、島?」
「そうだ、ワタシが住んでいた島には美しい白亜の建物が並んでいた。素材は大理石で、それは見事だったよ」
やよいはこちらに向かってきている水色の髪の少年を見て立ち上がった。
「素良」
「久しぶりだね、月詠のやよい」
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