玻璃と反逆のカンタータ


「ていうかちょっと影響されてね?」
「榊遊矢にな…」
「その名を出すなあああああ!!!!あの時の敗因はカードの差だ!!
俺がペンデュラムカードを持ってなかったが故のアドバンテージだ!!」

「えええ!? 言ってる事が最初と違うじゃないっすか!」
「てか榊遊矢からペンデュラムカード騙し取って持ってたし!!」
「やかましい!!とりあえず榊遊矢!!首を洗って待ってろよ!!」

榊遊矢に何かの因縁があるのだろうか。
何時ぞやの少年がやけにムキになっていた。

「あっ、オマエは何時ぞやの挑戦者!!」
「…1つ聞く。貴様らと榊遊矢との関係は?」
「オマエなんかに教えることなんて1つもないっつーの!!」
「どうやら榊遊矢に敗北したことがあるようだな。ボンクラ」
「ボンクラじゃねえ!!沢渡シンゴだ!!そういうオマエは何者なんだよ、挑戦者!!」

「オマエらに教えることなど1つもない」
「あっいた!!沢渡!!」

「オマエは、遊勝塾の柊柚子!!」

「ようやく見つけたわよ!!って、…あなたは?」
「月兎ヤミだ。柊柚子とか言ったな。奴らと榊遊矢の関係は?」
「カード泥棒よ」
「成程。大概読めた。つまるところ、やはりただのボンクラか」

「だからボンクラじゃねーし!!オレを無視すんなあああ!!!」

ヤミはデュエルディスクを構えた。
「おっやる気かい?いつぞやの挑戦者」

そこへ割り込んできたのは、いつぞやかヤミに話しかけてきた少年『ユート』だった。

「ちょっと!!ヤミさんにそこのアナタ!!この決闘は私と沢渡のデュエルよ!!」

「…もう、キミを傷つけたくない」
「はあ…!?」

ユートは郷愁帯びた瞳をゴーグルの中から見せる。

「この勝負、貴様にあずけていいんだな。柊柚子、私の後ろへ」
「だから、ここは私が決闘するって言ってるのに!!」
「俺のターン!!」
「ははっいきなり出てきてヒーロー気取りってやつかい?ナイト君よお、いいぜ、
新しいデッキの肩慣らしだ、相手になってやる!!」


「「「デュエル!!」」」
「俺はカードを5枚伏せ、ターンエンド!!」

「なっ手札五枚とも伏せカードだと!?」
「大嵐ッスよ沢渡さぁん!!」

「ちょっとあなた、大丈夫なの!?」
「静かに。こいつの戦いはこれからだ、柊柚子」
「ははっ君もしかしてモンスターを一枚もドロー出来なかったの?運が無いねえ!!」
「聞こえなかったか?ターンエンドだ」

(見せて貰おうか。エクシーズ次元レジスタンスの実力を…)

一方その頃遊勝塾では、アユが遊矢に柚子の事を知らせていた。
「あーあ。アイス溶けちゃってらぁ」
「勿体無いなあ」

「そうか、分かった!!直ぐ行く!!」

(柚子の身に何かあったら、オレは…!!)


「あの方、あんさんが求めていた榊遊勝の息子、榊遊矢じゃないですやろか」
「ああ!!あいつだ、サンキュー伊弉諾!!テルル、行くぞ!!」

「まったく、次元に関係あるとか言っても…面倒だわ」

遊矢似の少年は、伊弉諾という青年を置いてテルルという少女と
遊矢の前に現れた。

ゴシック調の少女、テルルはかなりの面倒くさがり屋らしい。
一方、京都弁を話す伊弉諾という青年は大人の落ち着きを見せていた。
血気盛んな遊矢似の少年を合わせて、彼らは
ヤミが言っていた『ファランクス』という儀式次元の組織だ。

「榊遊矢くん!!」
「はあ?キミ誰?オレ今すごく急いでんだけど!!」

「まあまあ。なあ、ここでコイツ見なかったか?」
「コイツって…柚子!?」
少年が遊矢に見せた写真に写っていたのは、紛れも無い『ヤミ』だった。

「柚子とかいうヤツじゃないって!!あ、オレ焔遊雅!!コイツ、ヤミっていうの。
知らないか…それじゃあな!!急いでるトコごめん!」
遊矢は頭にハテナマークを浮かべたままスラムに向かった。
その頃、ユートと沢渡の決闘は架橋に入っていた。


「ドロー!!俺はLV4の幻影騎士団シャドーベイルをオーバーレイ!!
漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙!今、降臨せよ!
エクシーズ召喚!ランク4!ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!!」

「「エ、エクシーズ召喚んんん!??」」

「エ、エクシーズ召喚っていったら、LDSでもトップクラスのエリートが選択する召喚方だぞ!!」

「エクシーズ…」

「いきなりのエクシーズ召喚は少し驚いたよ。しかしそのモンスターで俺のメビウスにバトルを仕掛けるつもりかい?」

「エクシーズモンスターはその能力にこそ力を発揮する!!
己の魂であるX素材を1つ取り除き、相手フィールドのレベル5以上の
モンスター1体を対象として発動出来る。このターンのエンドフェイズまで、
そのモンスターの攻撃力を半分にし、その数値分このカードの攻撃力をアップする!!」

「嘘!!うそうそうそうそうっそーん!!」

「エクシーズの真髄すら見抜けないとは、ここの次元の連中はやはりこの程度か」
(この『次元』…?)「ねえ、ヤミさん。あなた、何者なの?」
「私は、こことは違う場所から来た。ある人物を探すために」

儀式次元『ワールド』その精鋭部隊『ファランクス』として活動していたが、
アカデミアに見つかり私だけアカデミアに捉えられた。
数多の仲間は殲滅させられた。私の希望は、もはやここ以外の何処にもない…。

「ある…人物…?」


「一度しか聞かん。覚悟して答えろ。このバッジはLDSのものだな。貴様らとアカデミアの関係は?」

「アカデミア?知らないねえ!!だが俺は相手の先を読む男!!アイス・レイジ・ショット発動!!自分フィールドの水族モンスターを戦闘で破壊した
相手モンスター1体を対象として発動出来る。
そのモンスターを破壊し、その攻撃力分のダメージを相手に与える!!」

「易い戦略だ…児戯にも等しい…墓地から永続魔法、幻影死槍を発動!!
相手の通常罠、アイス・レイジ・ショットの効果を無効にして破壊し、
100ダメージを与える!!その身に受けろ!戦場の、悲しみと痛みを!!」

沢渡LP4000⇒100⇒0

「うそうそうそうっそーーーーん!!!!」
「さっ、沢渡さあん!!」

爆風で謎の少年のマスクが取れた。その顔はまさしく…
「ちょ、ゆ…!」
「遊矢!?遊矢!!なんでこんなところに、ていうかその格好はなに!?」

「榊遊矢!!お前だったのかぁ!!」
「「とりあえず退散ッスよ沢渡さぁん!!」」
「榊遊矢!!この借りは必ず…!!」

「落ち着け柊柚子。彼は榊…」

「柚子!!」
「遊矢!?」

「…アンタ、誰だ?」
「月兎ヤミだ。オマエが榊遊矢だな…ペンデュラム召喚、見事だった」
「見ててくれたの?ていうかここ、煙臭くない?」
「それがね、遊矢!!ヤミさんも見たでしょ!?…あれ、ヤミさん?」

ヤミの去った後には、煌々と燃える炎の匂いが漂っているだけだった。


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