せかいかんもどき

ひとり。ぽつり。
たまに、私は何故ここにいるのだろうかと思うことがある。
私はこのカルデアに本来いない人間で、本来マスターになんてなり得る人間じゃない。
本当なら藤丸立香が世界を救い、ハッピーとは言えないが、トゥルーエンドを迎える物語だったはずなのだ。

そこに私なんているわけがない。


ある日突然、目が覚めるとこの場所、カルデアにいた。そしてその傍らには1体のサーヴァント。誰かは想像に任せるね。

夜ふかふかのベッドに入って眠りについた筈なのに、朝起きたら見知らぬ硬い床と見知らぬ人。ねぇ、知ってる?人って驚き過ぎると逆に冷静になるみたい。

とにもかくにも、色々あって、Dr.ロマンによると、私はパラレルワールドと呼ばれる世界からやって来たそう。もしもサーヴァントという存在が無かったら。もしもカルデアという存在が無かったら。そもそも魔術という概念が無い世界。そして何より…藤丸立香、人理を救った世界最後のマスターが存在しない世界。

細かく言うなら藤丸立香もカルデアも、サーヴァントも2次元にはいたしあったのだけど。

パラレルワールドから人間がやってくるというのは異例中の異例らしく、身体、精神のチェック…いわゆるバイタルチェック、とかいうやつだろう。それと、パラレルワールドについて話す事を対価に私をここで置いて貰えるそう。そんな事でいいならぜひ、と私は即答した。

ああ、でも……



「帰りたい、なぁ。」



突然異世界にやって来た普通の女の子がカルデアに住む話