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「さて、始めましょうか」
...何を?
全員の心の声が一致しただろう。
先生は教室の前で何人にも分身をしていた。中間テストの強化勉強をするそうだ。
一人一人にマンツーマンで教えるために、それぞれの苦手科目を徹底的に復習させるみたい。
ちらっと隣を見れば、寺坂くんの前にいるときだけ先生のハチマキがナルトになっていた。
「なんで俺だけナルトなんだよ!!」
「寺坂くんは特別コースです。苦手科目が複数ありますからねぇ」
私がそれを聞いて、ふっと笑ったのが聞こえたのか、寺坂くんがこっちをきっと睨んだのがわかった。
それを無視して、目の前にいる先生を見る。
「新稲さんは数学がこのクラスで、というより恐らくこの学校で一番できているでしょうから、一旦置いておきますね」
「えー...」
「苦手な社会と国語を克服していきましょう!!」
「...はーい」
はっきり言って、数学や物理以外やりたくないんだけど。それでもこの先生はやらせたくて仕方ないらしい。だまって先生の言う通りに問題を解いたり、解説を聞いていくことに集中した。
次の日も、先生の強化ぶりは上昇していて。昨日より増えていた。
先生の言っていることに耳を傾けて、しっかりとノートに書き込んでいく。まぁ、それでも私がこの教科で上位を狙えるとは到底思えないけれど。
「...さすがに相当疲れたみたいだな」
授業がおわり、ゼーゼー言いながら倒れる殺せんせー。そんな先生を眺めながら、なんでそんなに一生懸命になるんだろうとみんなで首を傾けた。
「勉強の方はそれなりでいいよなー」
「うん。なんたって暗殺すれば賞金百億だし」
「百億あれば生きていけるしね〜」
「ニュヤ!!そういう考えをしていきますか!!」
莉桜と二人で、呆れながら、百億あれば勉強はいらないだろうと話す。
「俺たちエンドのE組だぜ、殺せんせー」
「テストなんかより、暗殺の方がよほど身近なチャンスなんだよ」
岡島と三村くんがそういうと同時に、殺せんせーの纏う空気が変わった。
「なるほど、よくわかりました」
「?何が?」
教卓に触手を置き、顔にバッテンの印をつけてはっきりと先生はこういった。
「今の君たちには、暗殺者の資格がありませんねぇ...
全員校庭へ出なさい。烏間先生とイリーナ先生も呼んでください」
殺せんせーはそう言うと校庭へと向かって行った。その後ろ姿を見届けて、クラスがざわつく。
「...怒った?」
「いきなり不機嫌になったね...」
クラス全員が頭の上にはてなマークを浮かべている。私自身も、どうして先生が怒ったのかその時はまだわかっていなかった。
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