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一学期がもうそろそろ終わりに近づいている。
今日からついに、期末試験へ向けての集中講義が始まる。
まず手始めに天気も良いために外で勉強会をするようだ。

これぞ、青空学級。


「んー...良い天気だねーこんなに良い天気だと一つの問題で5通りのやり方は見つけることができそうだよ」
「どんな基準だよ...」


んーと空に向けて両腕を伸ばしていると、隣に座っていた莉桜が呆れながら私の顔を見つめた。


「新稲さんは数学は一旦置いておきなさい」


意気揚々と数学を眺めていたら、殺せんせーが国と書いてある鉢巻を巻いて私の目の前に現れて国語の教科書を手渡してきた。
困った。本当に国語は嫌いなのに。


「新稲さんは中間試験の時、社会と国語があまり芳しくない点数でしたね。今回はどちらも7割を目指していきましょう」
「えー...」


数字のない問題なんてといたって面白くない。

そう口を尖らせて言えば、まぁまぁと言いくるめられて問題を解かされる。

殺せんせーはせっせと分身しながらみんなに教えて行っていて、今回も凄まじいやる気を持っているんだなーと感じた。


「殺せんせー、また今回も全員50位以内を目標にするの?」
「いいえ」


渚くんのその言葉に、みんな問題を解いていた顔を一旦上に上げて先生の姿を見る。


「先生あの時は総合点ばかり気にしていました。生徒それぞれに合うような目標を立てるべきです。そこで今回は...この暗殺教室にぴったりの目標を設定しました!!」


殺せんせーはラッキーチャンスと書かれた単語帳を口に加えて、そう言う。

一瞬目のあった寺坂くんに向かって慌てて大丈夫寺坂くんにもチャンスがありますだなんて言ってて、おもわず笑ってしまった。


「お前何笑ってんだよ...」


こめかみに怒りマークを浮かべてこっちを睨む寺坂くんから顔をずらして素知らぬ顔をする。


「さて、前にシロさんが言った通り、先生は触手を失うと動きが落ちます」


殺せんせーはそういうと、自身で銃を持ち自分の触手めがけて銃を放った。
途端に鳴る銃声になくなる触手。


「一本なくなっても影響は出ます」


先生はそれでもなお笑いながら、御覧なさいと言って分身をし始めた。


「すべての分身が維持しきれず子供の分身が混ざってしまった」


分身ってそうやって減るんだったっけ?

ぽかーんとしながらそれを見つめると、次に先生はまた触手を一本減らしていく。

次は子供分身がさらに増えて、家計のやりくりに苦しみ始めて、最終的に父親が蒸発するという重い話へとなっていった。


「いろいろと試してみた結果、触手一本につき先生が失う運動能力はざっと20% !!」


先生が触手で2と数字を表す。


「そこで本題です。前回は総合点で評価しましたが、今回はみなさんの最も得意な教科も評価に入れます」


その瞬間目の色が変わったように見えた人が数名。かくいう私もそのうちの一人だ。


「教科ごとに学年1位を取った者には、答案の返却時触手一本破壊する権利をあげましょう」


これは大きなチャンスだ。
もしも総合、5教科それぞれで誰かがトップを取ったら。
一気に触手を全て破壊することが可能となる。


「これが暗殺教室の期末テストです。賞金百億に近づけるかは...みなさんの成績次第なのです」


殺せんせーというのは、つくづく思うのだけれど、教師に成るべくして生まれてきた人間なのではないだろうか?





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