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ついに沖縄離島の地へとやってきた。
今回も暗殺まで修学旅行と同じ班での行動で、それぞれが暗殺のための準備をしていく手筈となっている。

今は、船酔いでデロデロの先生を1班がうまいこと動かしている。


私はモバイル版の律を取り出して、ウェットスーツに着替えて潜った渚くんたちへと指示を出す。
ついでに、以前先生にはバレてしまったサバイバルゲーム用のアプリも改良したため、万全だ。障害物がどこにあるのか、標高はどれくらいか、前よりもはっきりと分かるようにしてある。


「このアプリすごいよ、新稲さん」
「うん、これクラス全員に配布すればいいじゃん、新稲ちゃん」
「まだまだだよ。とりあえず今回のこの小屋の支柱を削る作業に合わせて改良したものだし」


支柱をうまく削り終えた男たち三人が戻ってくる。
茅野っちが延長コードで伸ばしたドライヤーで男たちの髪を乾かしている間にそう言われて、首を横に振る。
杉野くんには、このアプリ持ったままでいてもいいかと尋ねられて、うんとは頷いておいたけれど、もっともっといいものを作りたいから、少し気乗りはしなかった。



「さて、君たち4班はイルカを見るそうですねぇ」


なぜか顔の先端以外日焼けをした殺せんせーが現れる。私は愛美の隣でその光景を眺めて、全員で船に乗った。
けれど、先生はいつの間にか海に入ってイルカたちと泳ぎ始めてしまい、思わず苦笑してしまった。





無事全員と遊ぶのが終わり(先生は)、全員合流をする。
夕飯を食べた後に暗殺があるため、殺せんせーを船上レストランへと案内をするため、みんなで移動をした。


「こちとら楽しむふりして準備すんの大変だったのによ」
「私たちの時なんてイルカと泳ぎ始めたからね、先生」
「楽しみすぎだろ」


朝ぶりの寺坂くんの隣に立つ。
二人で苦笑しながら今日の殺せんせーについて語っていれば、前原くんにお前らのその距離感よ、となぜか呆れながら言われてしまい、二人で首をかしげてしまった。



「夕飯はこの貸切船上レストランで、夜の海を堪能しながらゆっくり食べましょう」
「...な、なるほどねぇ...まずはたっぷりと船に酔わせて戦力を削ごうというわけですか」
「当然です、これも暗殺の基本の一つですから」


磯貝くんがウェイターよろしくプレートにジュースを持ちながら話す。
と言うか磯貝くんと話している殺せんせーの顔は一体どっちが正面なんだ?と莉桜と話していると、みんな同じこと思っていたのか、一斉に黒い!!とツッコミが入った。


「そんなに黒いですか?」
「表情どころか前も後ろもわかんないわ」
「ややこしいから何とかしてよ」
「ヌルフフフお忘れですか、皆さん。先生には脱皮があることを」


と、久しぶりに見た脱皮を見て、全員であーあという。
それは奥の手だったはずなのに、今使うとは。
こんなドジを今の今までやれていないことに少しショックを感じる。




「さぁて殺せんせー、飯のあとはいよいよだ」


全員がご飯を食べ終わり、最終的に酔った殺せんせーを引き連れて暗殺の場所へと向かう。

この前の期末試験でトップを取った私含む八人が銃を手にし、中へと入った。


「楽しい暗殺」
「まずは映画鑑賞から始めようぜ」


中にいるのは三村と岡島。
あのロヴロさんにも残酷な暗殺と言わしめた、暗殺が開始するのだ。


「まずは三村が編集した動画を見て楽しんでもらい、そのあとテストで勝った八人が触手を破壊し、それを合図にみんなで一斉に暗殺を始める。それでいいですね、殺せんせー?」


みんなにわかりやすいように簡潔に説明をする磯貝くん。


「準備はいいですか?」


ギシりと鳴らして椅子に座る殺せんせー。
渚くんによるボディチェックも大丈夫だったため、念入りに練った暗殺の計画がついに始まろうとしていた。

私たちは全員緊張感を感じながらも、やる気に満ちながら笑顔を見せる。


「始めるぜ、殺せんせー」


岡島が電気のスイッチを消す。そしてテレビに映し出される、三村がずっと編集をしていた動画。

私は莉桜と愛美の間に座り、じーっと殺せんせーとその動画を見つめた。




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