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夏休み明けは立て続けにいろいろなことが起こった。竹林くんのE組抜ける事件に茅野っちのプリンで暗殺計画。
まず竹林くんのに関しては、最初は皆と同じように少しムカついた。なんで抜けるんだろうって。だけど、家のことを聞いた時、仕方ないと思った。そこは私たち他人が口出しできることじゃないし。だけれど、それでもやっぱり竹林くんには戻ってきてほしいなーと思ってたら、彼は自主的に、全校生徒の前で理事長の私物を壊し、E組に戻ってきた。
彼が戻ってきたことにより、烏間先生が誰か爆薬の取り扱い資格を持てと言った時、その候補となる人がクラスにいてくれたこと、私だけではなくて皆が感謝をしただろう。

そして続いて起こったのが茅野っちの巨大プリンを作って行う暗殺計画だ。

突然夜中に電話が鳴って、茅野っちから助けてと言われた時は焦った。


『え?何、どうしたの茅野っち』
『ねぇサチ!!巨大プリンが作りたい!!』
『はい!?』
『大きいプリンが作りたいの。でもそのためにはある程度自分の重さに耐えてくれるようなプリンを作らないとダメでしょ!?どうやったらいいのかなー!!』


あの時は確か、夜中の12時だったと思う。まだ父さんも帰ってきてなかったし一人で数学を解いていただけだったから、私はその電話を肩と耳で挟みながら、下のリビングに降りて共通のパソコンを開いた。


『んーと...あぁ、あった。本当だ、巨大プリンつくるには大きすぎると失敗しちゃうみたいだね』
『そうなの!!だから、凝固策としてはゼラチンの他にも寒天を使おうと思ってるの!!寒天の方が繊維が多くて強度が増すんだって!!でもね。それをどうやって試したらいいのか思いつかなくて!!』


涙を流しているのだろうか、ザーーとした音が聞こえる...。


『それはやっぱり縮小モデルで実験していくしかないんじゃないかな?どんどん大きくしていけばいいんだよ。うちの父さんが勤めてる大学の研究所でそういう実験やってるところあるし、電話番号教えてあげるよ』

『本当!?』
『うん、聞いてみなよ』
『ありがとうサチーーー!!!!』


たかが電話番号を教えただけなんだけど、それだけで喜んでくれる茅野っちが可愛くて、どういたしましてとその時は電話を切った。そして数日後、気付いたら校庭には大きい巨大プリンを作る設計模型みたいなものができていた。
皆でその模型にプリンの材料を入れたり、竹林くんお手製の爆薬を仕込んだり。

案の定殺せんせーにはバレちゃって失敗したけれど、途中で茅野っちが「サチが私のために手伝ってくれたものだから壊したくなんかないーーーー!!」って叫んだときは驚きというより嬉しかったかな。特に何もしてないけど、私。


まぁそんなこんなで、立て続けに起こった事件はあっさりと閉幕した。

私としては、殺せんせーのための経費は全部防衛省が払ってくれるという情報が手に入ったことによって、私も早く何かしらの形で暗殺を手伝いなと思った。





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