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「二学期から教える応用暗殺訓練、火薬に続くもう一つの柱がフリーランニングだ」


新しく始まった、暗殺訓練の授業。烏間先生が前に立ち、説明をする。


「例えば今からあの一本松まで行くとしよう。三村くん、大まかでいい。どのように行って何秒かかる?」


烏間先生の質問に、三村が崖の下を覗き込み答える。


「まずこの崖這い降りて、そこの小川は狭いとこから飛び越えて...茂みのない右の方から回り込んで最後にあの岩よじのぼって、1分で行けりゃ上出来ですかね」


三村の言葉にニヤリと笑みを浮かべた烏間先生は「では俺が行ってみよう」と言って、文字どおり崖から飛び降りた。そのまままるで忍者のように木と木や岩の間を飛んでいき、ものの10秒でその松へとたどり着いた。

なるほど、これがフリーランニング。私にできるのだろうか...。









「えーと、じゃこのプログラムの性能上げようか」
「はい、マスター。こちらの計算はどうしますか?」
「んーそこは一旦置いておこう。今の私の頭じゃそこあげたら他がバカになる」
「わかりました。では温度探知のボーダーはこのくらいにして、標高、風速を一致させる計算に移行します」
「うん」


朝学校に着くと、何やら新稲さんと律がよく分からない言葉を連呼していた。一体なにをしているのだろうかと彼女と一番仲のいい奥田さんに話を聞いても、「私もよくわかっていません」とのこと。
やっぱり数学者の娘だから、ここら辺は僕たちとは頭の出来が違うんだなーとなんとなく思った。そんな時、殺せんせーがいつものように教室に入ってきたんだけど、なんでか警察のコスプレをしていて。


「最近皆さんフリーランニングをやっていますね。せっかくだからそれを使った遊びをやってみませんか?」


その殺せんせーの突拍子もない言葉から始まった、ケイドロ。
ルールは簡単だ。烏間先生と殺せんせーから逃げ切るだけ。もしも勝てば、ケーキをおごってもらえる。その言葉に全員やる気を出して、体操服に着替えた。




皆で警察役である烏間先生から逃げるために崖の上や木の上を登って行った。途中、寺坂くんに手を引かれたり腰を持ち上げられてジャンプしていく新稲さんを見て、あぁ、この二人のコンビネーションもまたいいものになってきたなと感じた。


「寺坂くん、あっち」
「おう」
「それじゃあまた後でね、愛美、杉野くん、渚くん、茅野っち」
「はい、サチちゃん気をつけて下さい」
「オッケー!!」
「うん、気をつけてね、二人とも」
「気をつけろよー」


寺坂くんに指示を出して走りだす新稲さんに手を振る。
よし、僕たちも逃げようと思った瞬間、画面にいる律が6名の名前を呼び、アウト〜と、どこかの番組で聞いたことのあるようなそんな言葉を発した。


「やばい。どんどん殺られてく。殺戮の裏山だ」
「逮捕じゃなかったっけ」


今一体どんな状況になっているのだろうと考えた時、奥田さんの、これはケイドロでしょという言葉に、ハッとする。そう、これはケイドロだから、牢屋にいる泥棒にタッチすれば、解放できるはずだ。それをいち早く感づいた杉野くんが走り出す。だけど、カルマくんがそれを見て呆れながら「ラスト1分まで牢屋の前から動かないって言ってたじゃんよ」といった。そうだった。殺せんせーが牢屋を見張っているんだった。




この二人のコンビ、無敵すぎる。






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