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寺坂くんたち寺坂組が、イトナくんを連れ出して歩き出す。
一体何をしようとしてるのだろう、私たちは不安に思いながら彼らのあとをついていった。最初に村松くんの家に行くみたいだ。村松くんの家はラーメン屋さんを営んでいるそうで、この前寺坂くんが吐くぐらい不味いと言っていた。

店の前で隠れて見る。うまくいかなかったようで、次に彼らは吉田くんの家に行くそうだ。
吉田くんの家のバイク屋さんの柵の前に立つ。

ぶんぶんバイクを飛ばしてイトナくんを放り投げちゃったり、気絶したイトナくんを叩き起こしたり。


「...何にも計画ないみたいだね」
「...うん、ただ遊んでるだけな気が」
「ま、あいつら基本バカだから仕方ないよ」
「あ、でも狭間さんなら頭いいから...」


と、愛美がカルマくんの言葉にフォローするも、狭間さんはそんなのどこから取り出したのかと聞きたくなるくらいの大量の本を取り出した。
どうにかならないもんなのかと動向を見守っていれば、イトナくんは突如ブルブル震えだした。
触手の発作なのだろうか、触手が暴れ出してるようだった。
村松くんと吉田くんと狭間さんが距離をとる。けれど、寺坂くんは依然と立ったまま、イトナくんを見据えていた。


「俺も考えてたよ、あんなタコ今日にでも殺してーってな。でもな、てめーにゃいますぐやつを殺すなんて無理なんだよ。無理のあるビジョンなんざ捨てちまいな、楽になるぜ」


寺坂くんに触手が伸びる。
寺坂くんはそれを、身を挺して受け止めた。


「二回目だし弱ってるから捕まえやすいわ。吐きそうなくらいいてーけどな」


寺坂くんの言葉が聞こえる。
彼は一つ一つ、イトナくんに聞こえるように言葉を紡いでいった。


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