middle&short
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    母さんが自分たち兄妹に教えてくれたのは、この世を生きていくための全てだった。
    そしてはじめて、太郎と梅の為だけに着飾った母さんを見た日、その不条理に母さんを恨みたくなった。

    母さんが、愛してくれているのを知っている。
    助けになるよう、金子を貯めているのを知っている。
    生きやすいように、兄妹の顔を売っているのを知っている。

    でもそれはみんな、母さんがいなくなっても大丈夫なように、かけられている保険だった。

    それに不満なんてない、不満なんてあるはずがないけど。
    ちょっとだけ、悲しいのも事実。



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