ハオ様の仲間になったはいいものの、特にこれといってすることはなかった。他の仲間達は、魂狩りなど色々と言いつけられているようなのだけれど。なぜか私はいつも一人ぼっち。別に寂しいとかではない。
もともと人と話すのは苦手だし、吃って相手をイラつかせるのがオチだ。

初めはハオ様が気を使ってくれているのかとも思ったりしたが、勿論そんなわけもなく。






「...キャンプが、好きなのかな?」

そんな疑問が浮かぶのも致し方ないと思う。
目の前にはゆったりと流れる川、そして周りは見渡す限り美しい自然で溢れかえっている。


特に代わり映えのしない風景に感動している間に、他の仲間達はハオ様を囲んで何やら楽しそうに談笑していた。遠くからその様子を見ていると、まるで友達と

実際は、そんな可愛いものではないけれど。
ハオ様は人間が大嫌いで、シャーマンだけの世界を作るために戦っている。その為なら彼は人殺しも厭わない。他人にそれは間違っている、と言われれば私は否定できない。しかし間違っていないとも言い切れない。結局私はいつだってどっちつかずなのだ。迷ってばかりで答えを出せない、





「...意思が、弱いなあ」
「何してるんだい?」
「へ...」



「は、ハオ様...」
「うん?」
「あの、その...なんでここに」
「川、好きなのかい?」
「え?」
「さっきからずっと眺めてたから。何か面白いものでもあるのかい?」

そう言ってハオ様は、座っている私の背後から肩越しに川を覗き込む。
僅かに茶色を帯びた長い黒髪がふわりと靡いて、鼻を掠めた。驚きに目を見開くも緊張と焦りでピクリとも動けない。


「...花の匂い」
「ん?なんだって?」
「いっ、いえ...なんでもないです...」







「あ、そうだ」
「?」
「君に後でやってもらいことがあるんだ」
「っえ...」

思わぬ言葉に


「はは、そんな硬くなるなよ。暗くなったら僕のテントに来てくれ」
「ハオ様の...テント?」
「じゃあ待ってるよ」







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