みんなは知っているだろうか?
普段、他人に興味がなく冷たい人ほど、一度人を好きになると盲目になるということを。





「なあ」
「はい?」
「何してるんだい?」
「えっと、皆さんの夕食の準備です」
「ふーん。僕のも?」
「いや、ハオ様のご飯はいつもラキストさんが...」
「なんで?」
「え?」
「なんで僕の分は作ってくれないの?」
「」



なんだか、最近ハオ様の様子がおかしい。それは私だけでなく仲間全員がそう思っているのだから間違いない。

「今日から僕のご飯は#name#が作ってね」
「え...ええ?!」
「」






花組のみんなは何だかやけにニヤついているし、ラキストさんに至っては神父様のような朗らかな微笑みを浮かべている始末。何が怖いって、私だけ理由を知らないこと。
一人一人に聞いて回ったけれど、誰一人としてその理由を教えてはくれない。





「#name#」
「は、はい?」
「どこ行くんだい?」
「手を洗いに...」
「僕も行く」
「えっ!いや、洗いに行くって行ってもすぐそこなんですけど...」
「僕が傍にいたら嫌なのかい?」
「...いえ、傍にいて下さるのは嬉しいです」


怖い、怖すぎる。
ハオ様が怖いっていうよりは、

私を試していらっしゃるのだろうか?
精神的に追い込まれても冷静を保っていられるかどうか、それを試されているんだ。



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