チェ・グソンが自らの眼球を切り裂き、槙島聖護の手を取ってから1週間が経とうとしていた。
損傷が激しかった眼球は綺麗に摘出され、今は空洞の状態となっている。グソンは自分が今どんな風貌になっているのか少しばかり気になったが、勿論それを確認することはできない。しかしあの槙島から「気味が悪いな。まるで特殊効果の酷いホラー映画だ」と、一切の気遣いもなく言い放たれれば笑うしかなかった。あれだけ冷静に他人を切り殺す人間の口から、気味が悪いという言葉を聞くなんて思いもしなかった。
この一週間、槙島が見舞いに来なかった日は一日もなく、


それ故に、グソンの槙島への興味は増す一方だった。

「やあ、チェ・グソン。調子はどうかな?」
「...今日は鎮痛剤が効きすぎてるみたいでね。あまり良いとは言えないですよ」
「そう、まあ一時間もすれば楽になるさ。それより、泉宮寺さんから許可を貰ったよ」
「許可、というと?」
「今日から普通に生活してもいいって」
「はあ...。でも槙島の旦那、俺行くアテすらないんですが...」
「何を言ってるんだい?僕の家に行くに決まってるだろう。目の見えない君に一人で暮らせなんて、そんな酷なことは言わないさ」

その言葉を聞いて、グソンは何故か鼻の奥にツンとしたものを感じた。理由は分からないが、単純に嬉しかったのかもしれない。


「あの、でも迷惑なんじゃ...」
「んん?僕はそんなこと思わないが...。君が僕に迷惑をかけるかもしれないと気にしているなら、目が見えるようになってから恩返ししてくれればいいさ」









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