はじめましてと言われても











「なら、バーボンはどうしてこの組織に入ったの...」
「それは−」

真っ直ぐな目に射抜かれそうになる。あの眼鏡の少年と似ているからだろうか。


「道ならいくらでもあったのに。どうして、こんなところに来ちゃったの?」
と風波シアンは悲しそうに言った。その言いように、まるで来て欲しくなかったと、そう言われているようで。何故か少し嬉しくなった。

「どうして、ですかねえ。まあ理由は色々ありますが。一つ挙げるとすれば−」
「?」

首をかしげる彼女はまだ幼い。この子だって、鎖さえなければどこへでも行けたはずなのに。
組織の中枢と接触しているせいで、感情的になっているのか。

「僕が、僕で在る為。自分自身の存在を、否定されないように。一応、これでも必死なんですよ。」



「わたしはね、ここで研究をしているの。何年、何十年、何百年先になるかもしれないユートピア。組織から逃げ出したシェリーが作り出そうとしていた薬を、」
「」




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