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「………ちょっと?カミサマ?……これどういうことなんですか…!」
普段あまりきつめの言葉は言わない花楓が珍しくカミサマにたて突くようになるのも仕方ないだろう。
「…なんでカミサマに飛ばされた先の目の前に花屋があるの!?」
そう。カミサマに「行ってらっしゃーい。」とあの白い空間から飛ばされたら目の前にはファンシーな…!
いや。ただ単純に花屋が目の前に合ったってだけだが、いつかどこかで見たことがあるような花屋だ。
「またですか…。今回は違う人みたいですけどなぜ最近こうも迷い込んでくる人が多いんですかね。何か起こってるんですかね。」
花屋にいる彼女はそう独り言っぽくつぶやいた。
「あ、あのー…。」
「なんでしょうか?あっこちらの説明でもしましょうか。」
花楓は花屋にいる彼女独特の雰囲気に飲み込まれそうになりながら返事をした。
「あっ、じゃ、じゃあお願いします。」
そうした会話の時に、夢花はなんでかはわからないが、勝手に店先に並んでいた花を観察していたため、無口になっていた。
しかし、そんな夢花の様子をよそに、彼女と花楓は話をしていた。
「ここは見て分かるように花屋です。何か悩み事を持ったお客様などがよくこちらにいらっしゃるので、そのような時、それぞれのお客様に合った花を花言葉と一緒にお送りしています。そして、その際の重大なルールが一つ。他にも同じような内容の仕事の方たちもいらっしゃるので、その方たちもですが、そのお客様にこちらの世界に関することはあまり伝えることができないんですよ。そして、この世界は悩みを持ったお客様が住んでいる世界とは少し違い、鏡の中の世界と言ったらいいですかね?パラレルワールドに似た感じのものだと思ってもらって大丈夫です。
…そうだ。自己紹介が遅れましたね。こちらの花屋の店主をやっております、前橋(まえばし)実花(みか)と申します。」
そう説明されて行っていたが、その話を聞いていた二人にはある疑問が浮かんできた。
「あれ?それならなんで私たちには話しているんですか?」
「なぜかというなら簡単なことです。先ほど説明したように基本的にはこちらの世界はお客様方がいる世界の鏡の世界的なものなわけです。あまり多く語っていけないのはそちらの方々に対してだけなので…あなた方は別の世界から来た方々ですよね?」
そういわれたとき花楓と夢花はびっくりした。
なぜかなんて言われなくてもわかるだろう。
花楓と彼女―前橋実花―はほぼ言葉を交わしていない。夢花に至っては一言もだ。
それなのに二人のことを別世界から来た人たち―カミサマのお使い―とはっきりといったからだ。
びっくりしている二人の表情を見ながらそう言った―彼女ら二人がカミサマのお使いであること―理由を話してくれるようだ。
「なぜわかったかというと、私もカミサマのお使いをやった事があるからです。そして、お使いをしたことがある人が持っている能力も私も持っているんですよ。私の場合は“予知”という能力に少し似ているんですよね。うまくは伝えられないので省きますが、その能力を使ってその人のことや関連することなどが少しだけわかるんですよ。」
「へえー。そんな能力もあるんだ。」
夢花が感心したようにそういった直後、実花から多分一番の衝撃であろう話を伝えられた。
「って色々言いましたけど、半分くらいはあなたたちがこちらの世界に来るというのをこちらのカミサマから聞いていたからなんですよ。」
「はあ…?」
「ちょ、ちょっとどういうことだか説明してもらっていい?私の耳がおかしかったのかな?聞こえるはずのない単語が聞こえたような……。」
「いや。本当ですよ?しかしあちらのカミサマから聞いているかもしれませんが、こちらのカミサマの力が弱くなってきてしまっていて…。このままだと大変なことになってしまうので助けを求めたんですよ。」
「そういうことなんですね。ではこちらも自己紹介させてもらいますね。私たちは、カミサマのお使いでこちらの世界に来ました、市川花楓と「市川夢花」…です。能力はあるけど、説明が難しいからまた今度にさせてもらうね。一応高校生やらせてもらってます。
今回は、世界はそれぞれ迷いビトとかが出ないように薄い壁みたいなのがあるんだけど、それが壊れ始めちゃったからそれを直してほしいってことなの。」
「そういうことなんですね。ならば、私にできることも少ないですけど協力させていただきますね。」