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物心つく頃から、もうこの寺にいた気がする。



親がいない僕は、ずっと爺様に育てられた。



「凪や、今日は友達は出来たか?」



お日様みたいにあったかいその掌を低い位置にある僕の頭に乗せ、優しく撫でてくれる。そんな爺様の言葉に黙って俯く毎日。


そして、物心つく頃から僕には不思議な力があった。



「あら、またあの子よ‥‥」
「ほんと。アリスなんて早く学園に入れればいいのに‥‥」
「うちの子に何かあってからじゃ遅いんだから‥‥」



僕は上手にアリスをコントロールできないまま成長していき、ずっとお外に出れない生活が続いていた。爺様がお外は僕にイジワルする人しかいないから。と悲しそうに言った。



「あ、あの、僕と遊ばな「化け猫寺の子だー!!!!」‥‥っ?!」

「あっちいけよ!」
「こっちくんな!」

「ち、違うよ、僕はみんなと‥‥」



妖変化のアリス。

上手にコントロールできないこのアリスのせいでずっと獣耳と尻尾を仕舞うことができずにいた。僕が “私” である事を消すために長かった髪の毛を、男の子と変わらぬ長さまで刈り上げた。そうすれば、一目見ただけでは男の子の“僕”な筈なのに、結局バレて友達は出来なかった。




「久しぶりだね、凪」

「行平、さん‥‥」

「‥‥元気がないね?君の大好きないちご大福を持ってきたのだけど、食べないかい?」



僕にはいないけど、爺様にはお友達がいた。


「おお、行平か!!」

「お久しぶりです」


行平さんは僕みたいなアリスの子供が集まる学園の偉い人??‥‥らしい。


「今日は、人体発火のアリスの特訓をしようか」

「うん‥‥」


僕にはもう一つありがあって、それも正直上手にコントロールできない。
コントロールができたらきっとみんな友達になってくれるかな…。



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