02




「爺様‥‥??」




寺の中で一番奥にある小さな部屋。
朝起きて、その扉を勢いよく開けて爺様や、門徒のみんながいる食事間に行く。



「救急車を!!!」
「おっさま!!」
「急いで搬送の支度を!!!」



いつもなら、



「おっさま!しっかり!!!」



いつもなら、僕が部屋に入れば爺様が手招きで僕を呼んでくれて。それで、みんなでいただきますっていう。そこから温かいご飯を食べて。



「さがっていて下さい!」
「心臓マッサージ始めます!!」




「爺様‥‥??」



なのに。



その日は、床に倒れた爺様がいて。

その周りを門徒のみんなが囲い、


泣きそうな顔をしていた。



「凪、落ち着いて聞いてくれるね?」







あのあと、何が起こったか覚えてない。気付いたら真っ白い部屋に移されて目の前に行平さんがいて両の掌を包み込んでくれていた。

行平さんは、ゆっくりした口調で教えてくれた。


ここは病院で、その待合室。
爺様は今朝、ずっと患っていた病気が悪化して倒れてしまった。今は落ち着いて病室で眠っているらしい。




「それと、君のことで1つ提案があるんだ」



爺様は、当分ここにいなきゃいけない。だから僕の面倒を見てくれる人がいなくなってしまう。彼はそう言った。

門徒の中にはアリスの僕をよく思わない人が何人か居るのは、なんなく気付いていた。
もし、爺様がいなくなったらどうなっちゃうの‥‥?



「僕と養子縁組の措置をとって、学園に来ないかい?」

「学園‥‥?」

「君がアリス学園に入りたくなければ、そのアリスは極秘で外の学校に通える様に手続きをするよ」


椅子に座る僕と同じ目線になるよう膝を床に付けて話を続ける行平さん。


いつか、門徒の噂話を聞いたことがある。




『アリス学園に入れば多額の給付金が貰えるらしい』




もし、そのお金があれば爺様の病気は治ってまた昨日みたいに



「行平さん‥‥」



爺様も、門徒のみんなも、助けることができる気がした。



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