07
「って、お前頭から血出てるじゃんっ!!!」
中等部の生徒が去った後ろ姿を見ていると長髪のお兄さんがビックリした様子で僕に駆け寄ってきた。
「とりあえず病院に‥‥」
僕の腕を引こうとする。
パシッ
「触んないでよ。」
僕に関わってしまえば名前も知らないこの人たちにまで迷惑がかかってしまう。早く寮に戻らなきゃ。
少しフラフラするけど、今度は僕が彼等に背を向けて歩き出す。
「‥‥??」
足が、
「動かねえだろ?」
「ナイスだ翼!」
「影足止めなり〜☆」
そのまま僕は長髪のお兄さん(高等部)の寮にテレポートという名の拉致をされました。
―――――――
「お前、三条凪だろ?」
傷の手当をしながら長髪のお兄さんが話しかけられた。
止血をし、器用に僕の頭に白い包帯を巻いていく。
「殿、こいつの事知ってんの??」
「有名だろ〜。」
「もしかしてあの噂の子ってこいつ?!」
僕を見ながら驚く帽子のお兄さん。
どんどんこの部屋に居ることが気まずくなり視線を床に向けて俯く。
「帰ります。手当、ありがとうございました」
座らされていた椅子から立ち上がり、初等部のカバンを背負う。
「お、おいっ!!」
ふらついてしまい、床に手をつく。
「ガキは先輩に頼っとけって!」
「そーだぜ!何なら泊まってけ!こいつこう見えてスペシャルだから部屋は誰よりも広いからな!」
床にいる僕を軽々抱き上げ、2人は笑ってそう言った。
「それに、そんな泣きそうな顔した奴をほっとけないしな。」
「え‥‥?」
僕を抱き上げていた長髪のお兄さんが優しく頭を撫でてくれた。
「俺は殿内明良。増幅のアリスだ。」
「そんで俺は安藤翼!影使いのアリスだぜ!」
「‥‥」
2人はずっとニコニコしながら僕にそう言った。
「僕に、関わらないで下さい。さっきみたいな‥‥」
友達。普通ならきっと、こんな感じに何気なくたくさん出来るんだろうな‥‥。
でも僕は今は、友達を作るわけにはいかない‥‥。
「だぁーーー!まーーーだそんな事言うか?!」
「でもっ!」
「でももへったくりもねーよ!お前に何があって周りと距離置こうとしてるのか知らねえけど、俺や翼はさっきみたいなザコ連中にやられるほど弱くねぇよ!」
そう言って僕の頭をぐしゃぐしゃにしてきた。それがなんだか、くすぐったく感じた。
「それに、あの噂の出処はお前と接点のない中等部だろ?胡散くせぇ‥‥」
「とりあえず出処を探すか‥‥」
僕を挟んでどんどん話が進む。
どうしてそんなことしてくれるんだろ。友達ってこんなこともしてくれるのかな?僕には分かんない。
一人ぼっちは慣れていたし、友達がいなくなるのはただ前に戻ったって思えば大丈夫な気がしてた。
でもほんとは、
「あ、明良くん、翼くん‥‥、」
ホントは、誰かに、助け欲しいって、
「たすけて、」
ずっと思ってた。
「「おうよ!!」」
2人はまた、笑った。
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