※27話の該当する



(あいつ……半分野郎じゃねえ方って意味で選びやがったな)



障害物競争がはじまる前から挙動がおかしかった。半分野郎を複雑な眼差しでみつめる辺り違和感を感じてやまなかったが、なにかあったとしか思えねえ。
あいつのことは襲撃事件後にネットや図書館にまで足を運んで調べた。
“赤ずきん”に関するデータは意図的に削除されている節をみるあたり、権力に寄って消されたことがわかる。だが、あいつのバックにそれほどの大物が備わっているという意味合いになるが、正直そこまでは掴むことは出来なかった。

その日、調度デクを見かけた。あいつも新聞で情報を得ようとしているみたいだった。するとあいつの近くに司書が通るなり大きな声で絡んでいた。



「きみっ!“赤ずきん”のこと知ってるの?!!!」



その言葉に反応して俺は本棚の影に隠れた。そこからあの司書はデクに説明していた。それが全てだとは思っていないが、少しだけ邪神禄の本質に触れた気がした。
教室でふと見せる悲しそうな横顔、淋しそうな背中。あいつはクラスの奴らに囲まれていても時より誰よりも孤独をみせて来る。それがどうにも納得いかなかった。ムカついた。単純な話。
いつの間にか、あの普通科の野郎と親しくて、でも体育祭がはじまってもあいつは実力も出さずに浮き彫りにもならなかった。それが段々と堪忍袋を刺激してくる。イラつくんだ。あいつを視界に入れると、頭が沸騰するほどに腹立たしい。なのに、視界に入れないと落ち着かない。あいつの声を聴かないと気が済まない。一体どうしちまったんだ、と頭を抱えたくなった。



『………静かで紳士的な人』



俺を選んでおいて俺と正反対を好みだと言うおめえの口を塞いでしまいたかった。
轟の様子を窺うようなその態度が、轟があいつを見つめ続けるその瞳が、互いに見つめ合う距離と感覚が……何もかもが火種にしかならなかった。
明らかに落ち込んでいるようにしか視えない轟の様子がざまあ、と視線で見ていると俺を見るなり眼光が鋭くなる。



「なんだよ」



半分野郎を罵るしってやろうかと思ったが茶々が入った。



「ですって爆豪さん。ご感想は?」



この女も食えねえ奴だな。あいつと張り合うってことはこの女も訳ありってことになる。だが、敢えてこう答えた。



「ハア、当然だろ」



おまえも、半分野郎も――――一番感情が動く言葉を。





To be continued......





書きたかったので書きました。爆豪くんの心の中……青春だね爆豪少年。


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