ミッドナイトの発表により1年の第一種目は【障害物競争】となった。
すると少し息を乱しながら僕の隣に本物の禄さんが到着した。大変そうな彼女に声をかけると平気だと笑った。



「計11クラスでの全員参加のレースよ!コースはこのスタジアムの外周約4キロ!我が校は自由さが売り文句!コースさえ守れば何をしたって構わないわ!」



ミッドナイトが再び禄さんを見つけると大人な誘惑をしてきた。本物の禄さんはこれに対して青ざめながらも手を振っていた。反応が若干違うけどほぼ一緒だったことにもしかしてまだ融さんなんじゃないかと疑いの眼差しを送る。



「さあさあ位置につきまくりなさい…」



ミッドナイトの号令により僕らはスタートラインに移動する。レースと言ったが確かに点灯している灯りが三つある。これが全て消えればスタート合図なのだろう。



『出久くん!高画質カメラで撮りまくるからね!しかも手ぶれ防止完備!!』
「あ、本物だ」



片手にビデオカメラを装備しているのは禄さんくらいだ。でもすぐに運営に没収されていた。
あの姿を誰もDivaだったとは思うまい。しぶしぶといった様子で再び僕の隣に戻ってきた。
すると轟くんが禄さんを見ていたのか、二人は目が合う。だが、禄さんは素早く視線を逸らし居心地が悪そうな顔をしていた。どうしたんだろう……。



「何かあったんですか?」
『ふん?!あ、う、ううん!なにもないこともないけど、ないと言って置いた方が後々の自分の保険のためになるのでないと言っておくよ』
「……」



明らかな動揺の仕方に僕の方も困惑してしまった。そういえばと轟くんの方へ目をむけると既に前を見据えて目の前の競技に集中している様子だった。気にしてないのかな?でもアプローチしてたし……いや、好意的の中に含まれるのが全て恋愛とは限らないし。そうだね。今は僕も目の前の競技に集中しよう。見ててください―――オールマイト!



「スタ―――――――――ト!!」





◆◆◆






体育祭……嫌になるね、まったく。



「 お前はどこまで人様の×をぶっ壊せば気が済むんだよ 」



遠かった過去が近い現実となって瞼の裏に浮かんでは留まる。あ…そういえばなんで体育祭(ここ)にいるんだっけ?ああ、そうだった……私がお節介して余計な事項を増やしたから洟が尻脱ぐいの場として設けたんだっけ?……ほんとっ。使えないわ自分。
スタートゲートの狭さは最初のふるい。一抜けするために、他を騙し欺く。妨害可能な競技ではよくあることだ。流石はA組というべきか、それとも轟くんというべきか……彼の実力から言って流石というのはあまりにも嫌味な言葉に含まれるだろう。
跳躍して『あらごめんよ』と足を凍らせられた人達の肩や頭に足を載せさせて貰い開けた場所へと着地した。そのまま表面を滑る様に進めばももと会う。



「やはりこれは難無くでしたわね」
『そだね』



皆真剣。そうそう、この空気。この空気を味わってしまうと加速する脚は減速してしまう。ここに居ていい人間でもないのに、仕事だから居るだけ。それってなんか複雑なんだよな。



「 あんたさえ…っあんたさえ居なければッ!チート女ッ 」



峰田くんが吹っ飛ばされ、周囲が足を止める。私の隣を走っていた出久くんが呟いた。



「入試の仮想敵!!?」



ああ、そういえばアレって0ポイントの鉄屑だ。見上げる高さは威圧感がある。腰に手をあててふぅーと息を吐きだしていると鈴蘭の香りが鼻孔を掠めた。思わず香りに誘われて視線を向けると私の隣を可愛らしい女の子が笑みを浮かべて通り過ぎる。



「さぁいきなり障害物だ!!まずは手始め…第一関門ロボ・インフェルノ!!」



プレゼントマイクがあのけたたましい声でスピーカー越しに流れてくる。うるさいというか耳障りというか、あの人昔から変わらないよな。左耳に装着している無線機から融が「うるさい」と呟いていた。そらそうだ。



「一般入試用の仮想敵ってやつか」
「どこからお金出てくるのかしら…」
『そのお金が欲しい…』
「禄さん」



出久くんのツッコミに口を閉ざした。つい本音が……いやだってあれだけで武器強化できるし、装備用品も充実するし、給料値上がりしてくれないかな?消耗品激しいのよね。
前に飛び出している轟くんの背中を見つめる。彼は何かをしかけるつもりだ。牽制とそれから……。



「せっかくならもっとすげえの用意してもらいてえもんだな……クソ親父が見てるんだから」



そう言い放った瞬間、彼の右手から氷の個性が発動され。その威力は大型だと言われた仮想敵を一気に凍らせた。動きが制限されその出来た隙間から走り抜ける轟くんの後を追おうとする生徒がいたが。



「やめとけ。不安定な体勢ん時に凍らしたから…倒れるぞ」



その宣告通りインフェルノは倒れた。生徒側の方へと。こりゃ流石に不味いと思い“重力操作”を使用しようとしたら次の瞬間、私は鉄屑と共に獰猛な竜巻に吸い上げられるように空中へと吹き飛ばされていた。
一瞬の出来事だった。瞬きをしたコンマ秒速で襲われた。



「1−A 轟!!攻略と妨害を一度に!!こいつぁシヴィー!!!っておっとどうした?!!轟が倒したロボが空中に吹き飛ばされてまるで竜巻が起こっているぞ!いや、ちょッ待て待て!!ありゃ……同じくA組の邪神が竜巻に巻き込まれて吹っ飛ばされてるぞ!!一体どうした美少女!!!」



マイクの解説はさておき。空中に吹き飛ばされながら顎に手を置き胡坐をかく。個性は“風属性”だと想定。一瞬で私だけを吹き飛ばしたと見ると特待生だから潰しにかかったか、或いは……。



『……面白い!!』



スタートラインまで逆戻りしてしまったが、まだ場外にはなっていない。空中で反動をつけて宙返りをし地面に着地後。私は最下位から走り出した。私を挑発したあの女の子に逢いにいくために。
脚の“強化”を計り一気に距離を縮める。だが行く手を阻む仮想敵。体勢を低くし地面に掌を押しつけて上へ上げると土がせり上がり仮想敵を串刺しにした。生徒を次々と越えていく先に金髪の髪をした男の子とすれ違う。容姿が家系と似ている所為か、私の視界の横に映り込む。彼もまた私の姿を捉えては気取った顔をしていた。その表情が妙に引っかかった。他人にあんな顔されたことがあんまないからかもしれないけど。だがそんな余計な思考は今は追いやった。早く追いつきたくて生徒も仮想敵も飛び越えて足を動かした。後少しだ。もう少し。あの鈴蘭の香りが近い。
追いかけた背中を見つけて並列に並ぶと彼女は驚いた様子もなく愛らしく微笑んでいた。



『さっきはどうも。きみのカウンターパンチ最高だったよ』
「お褒めの言葉ありがとう」
『どうして私を狙ったの?きみが妨害するほどの人物に見えたかな?』
「……勝負しましょう。負けた方が勝った方の質問になんでも答えるっていうのはどうかしら?」



こんな未来の切符をかけた舞台で勝負?なにそれ面白いわこの子……久しぶりに楽しくなって来た。



『いいよ。じゃあ最初は私の負けね。質問どうぞ』
「ありがとうございます。じゃあ……好きな食べ物はなんですか?」
『幼馴染の手料理』



親指をたてて即答すると無線機から「禄ちゃんイケメンっ」って悶える声が聴こえた。
クスクスと喉を震わせながら少女が笑うとまだ残っていた仮想敵が立ちはだかり、それをいち早く土で作り上げた棒を槍のように投げて仕留めた。



「今度はわたしの負けですね」
『じゃあきみの名前は?』
「巽風香です」
『では風香ちゃん、よろしく』
「こちらこそ」



走行しつつ仮想敵を倒しつつ仲良く談笑を交えている私達を異様な目で見ている視線は多かったと思う。



「あいつら化物かよ」



ああ、その言葉聴き慣れたな………。



「 この貧乏神ッッ!!! 」





◆◆◆






第二関門の綱渡りで生徒たちの加速を減速させた。先頭は頭一つ飛び抜けて第二関門は越えているとマイクが実況する。その後に続く生徒たちも多数団子状態の様に続いている。
緑谷が装甲を背負って綱を渡っていると聞き覚えのある声が届いた。頭上に影が差す。地面から土手で作ったトーテムポールを行く道に次々に建てられる。その上を驚異の身体能力で跳躍して前へ進む禄の影が緑谷の頭上を飛び越えていた。



『えッ?!あそこ台湾かき氷が出来たの!?うわー行きたいわ』
「マンゴーが絶品ですよ」
『食べに行くわ。じゃあアイスバーの店は知ってる?駅からちょっと遠いけど』
「そこは知りませんでしたわ。でもその近辺ですと雑貨屋さんがありますわ」
『髪留め買わないといけん』
「では、300円くらいで買えるお店教えましょうか?」
『マジ?教えて』



――――え……なんっ、なんしてんだコイツ等……!!!!!

体育祭で障害物競争してんのに、何で優雅に女子トークしてんの?てか女子会?ノリは女子会なの??
っと周囲は誰もが思っていたが、風を利用して個性で進む風香とトーテムポールで跳躍しながら進む禄の息も乱れていない奇妙な光景に口を閉ざしていた。体力が化け物だ。
しかも、互いに攻撃をけしかけ合いながら妨害を図っている。仲がよさそうな会話だというのに互いが互いに攻撃を仕合ながら競技に準じている。
第二関門を、難関だとも捉えていない女子ふたりは順位を上げていく。既にトップ10には食い込んでいるだろう。それくらいの巻き返しを見せていた。
持久走じゃないというのに、会話をしながらでも勝負をしているふたりは第二関門を突破すると再び肩を並べて先頭を追いかける?



「先頭は早くも最終関門!それを追いかける者たち、の中でずば抜けてファンキーなのが、そうこの美少女たち。1-A邪神と1-D巽のツインズたちだ。うおー!美少女が並ぶと破壊力抜群だな!そうだろう野郎ども!!」



観客席から男達の唸る声が響き渡る。隣に居る相澤はそうじゃねえだろうとツッコンでいた。



「脅威のスピード。一度は最下位にまで転落した邪神だが、一気にトップとの差をつめてきたこの状況はお前らの好きな展開だろ!先頭に追いつく事ができるのかッ?!!」
「あいつなら余裕で追いつくだろ」



相澤が耳にはめたイヤフォンを直す仕草をするとマイクは音源に入らないように小声で相澤に声をかけた。



「それ誰に貰ったんだよ」
「蕾だ」
「俺にはねえのかよ」
「ないだろ。お前声デカいし」
「んでだよ!!差別だろ!!」
「ほれ声デカい」



両耳を塞ぐような仕草をする相澤とカメラが調度禄を映したのでカメラ目線でニコリを笑みを浮かべたが無線越しに『 うるせぇ 』と返って来たのを聴いたマイクはその後落ち込んでまま実況を続けた。その様子を眺めていた相澤は僅かな機微に気がつきリカバリーガールへ一報を告げた。



「楽しそうだな」
「なにがだよ……」
「あいつのあんな楽しそうな顔、初めてみたよ」



相澤は画面に映る禄の姿を眩しそうな目で見つめていた。
そんな彼女もまた最終関門に身を投じていた。
続々と地雷が敷き詰まった最終関門に生徒らが投じる中、先頭を突き進む轟はこの展開に顔を渋らせた。



「なる程な。こりゃ先頭ほど不利な障害だ。エンターテイメントしやがる」
「はっはぁ俺は――関係ね―――――!!」



速度を減速させ慎重に進めば進む程失速する。そこで生まれるのは順位の入れ換わりだ。
爆豪が個性を使用して先頭へと躍り出た。



「てめェ宣戦布告する相手を間違えてんじゃねえよ」



攻撃をしかけ妨害をする爆豪とそれを避け同等に妨害をする轟という先頭同士の小競り合いが始まった。だがそれは感染するかの如く。この場面ではどこもかしこも見渡す限り妨害が発生していた。
地雷が発動して宙へ飛ぶ生徒も少なくない中、本来であるならば失速して慎重に前へ進むのがセオリーだが、この二人には関係がないのか。変わらない速度で小競り合いをしながら穏やかな会話を楽しみつつ突き進み、もう、先頭と並んでしまっていた。



「あら地雷なんてまるでクラッカーですね」
『音でかいって。うっざ。てかおめでとう感ないやん』
「そうですね。地雷っというのが物騒ですけど」
『ブビートラップ?まあ踏んでも死なないなら足を止めるのに抜擢だね』
「運営委員も考えているのでしょう。楽しみましょうよ禄ちゃん」
『かわいいこと言うじゃん。てか今どっちの勝ち?』
「先頭って確か現在は爆豪さんでしたっけ?」
『そうなの?じゃあ風香ちゃんの勝ちかな?』
「賭け事は苦手なんですね。先程から連敗ですよ」
『うるさいっての!ほらはよ言え』



先頭ふたりも思わず手を止めて隣へ視線を送った。この状況で会話しながら、速度も落とさずに地雷を避けながら来た女子ふたりに一驚する。
ちらっと横へ視線をなげる風香。その視線は轟を捉え、微笑んだ。



「好みの殿方はどんな方ですか?」





◆◆◆






風香ちゃんと競っていたらいつの間にか先頭に追いついてしまった。しかも今あまり顔を合わせたくない轟くんおるし。楽しさのあまり忘れていたわ。存在とか位置とか順位とかその他諸々煩わしいこと全て。
視線をなるべく合わせないように前を見つめていると風香ちゃんがとんでもない質問をぶっこんだ、というのが前略だ。



『……な、なにを言っているんだ風香ちゃん』
「あら勝者に与えられた特権をお忘れですか?」
『わかったわかったから!………静かで紳士的な人』



段々と語尾が弱くなっていくのはあまりにも気まずい空気だというのに、気まずい質問をぶっこまれてこっちが更なる追い打ちをかけられたからだ。



「あら意外にまともな解答ですね。でもそれって、まるで轟さんみたいですね」
『違う!からアホなこと抜かすな……次はおめえぜってぇー答えろよ!』
「あらそれはわたしに勝たないと」



掌から生じる風は突風のように吹き荒れる。一瞬でも隙を見せればあっという間に後方に吹き飛ばされる。体勢を低くし地面に触れ中から地雷を取り上げ相手に投げつける。それを吹き飛ばし後方へ飛ぶ地雷はそのまま生徒らに打撃を喰らわせた。
手を掴まれる前に避けながら土で作った棒を手に軸として蹴りを入れれば相手の腹部に入ったが、足を掴まれ宙へと飛ばされてしまう。おっと、地面に向けて棒を突き立てるように落とせばそこからトーテムポールが生まれ着地して再び彼女の傍へと戻った。



「はい。わたしの勝ち」
『ちっ』
「ではこのふたりならどちらが好みに近いですか?」
『ブフォッッ――――!!!』



思わず地雷を踏んでしまい慌てて爆発される前に土壁を作成しこちらへの被害を無くした。
額にかいた汗を拭い視線を送ると風香ちゃんの向こう側にいる爆豪くんと轟くんがこちらを見ていた。お前ら小競り合いを続けろよ!って内心ツッコミながらもコホンと咳込んだ。



『なんでいきなり恋話?』
「乙女の嗜みですよ」
『へ、へぇ……』
「ほら答えてください」
『じゃあ、爆豪くん』



その解答に爆豪くんが驚いた顔をして見つめて来るがその熱視線に居た堪れない。いやだって…ここで流石に轟くんを選ぶという事は……婚約を認めてしまうようなものだ。遅かれ早かれ自分の正体がバレるのは明白だ。ならそういう気がないことを示さなければという消去方の選択。別に好みのタイプだの生まれてこの方考えた事も意識したこともない。
そもそも恋愛感情をもって相手を見たことがない。欠落しているのだろうか、こういうのって。



「 おまえを好きになる奴なんかいるわけないだろ 」

「これもまた意外ですね。ですって爆豪さん。ご感想は?」
「ハア、当然だろ」



あ、なんかその解答は腹立つな。大体私は出久くんの方が好みだ。どちらかと突き詰めて言えば。
そろっと目線を上げると轟くんと目が合ってしまう。なんとも言えない空気になり先に逸らしてしまった。なんだこの空気。どうすりゃいいんだ。どっちに転んでも責められるこの感じはなんなんだよ。



「 お前が居るだけで空気が悪い。ほんとっ天才様は人生もイージーモードだよな 」



ああ……ほんとっ生きづらい――――。

後方から飛んできた泡が風香ちゃんへ襲いかかる。風香ちゃんの脇腹に手を差し入れ身体を自身の方へと寄せて攻撃を避ける。あ。と思った時には既に風香ちゃんからの視線が止まない。



『あっと、ごめん。その……別に馬鹿にしているわけじゃ』
「変わらないね」
『え』
「助けてくれてありがとう」



聞き返したら首を振って御礼を言われた。彼女の言動に確信を得始める。
定まった未来を打ち破る破壊音が聴こえた。煙幕の中をこちらへ向かって猛追してきた出久くんの姿に私は目を奪われる。
眩しいくらい憧憬を催す彼の姿に、目が眩む。突然の出久くんの登場に爆豪くんも轟くんも一気に意識は出久くんへと注がれ、彼の後を追いかける。それは勿論風香ちゃんや私も倣って走り出す。
その際、出久くんと目が合った。時々彼が魅せてくれるあの力強い瞳が眼差しが、注がれる。前進している彼を見ていると、胸が熱くなる。忘れかけていた幼い頃のあの日を思い出す。もう二度と思い出したくもないはずなのに……目頭が熱くなり冷める事を知らず。
その姿を見て私は本来の目的を思い出し、失速していく。



『ここまでありがとう。楽しかったよ』



風香ちゃんへそう声をかけると背中を叩かれた。思わず『うぇ』と嗚咽してしまった。



「逃げないで」
『……』
「そうやって身を引かないで。いま、緑谷くんはあなたにも勝負をしかけたの。言っている意味がわかるわよね?」
『私は部外者だ。そもそも参加していい人間じゃない』
「それを決めるのはあなた自身よ」



思わず足を止めるとそれに倣って風香ちゃんも足を止めた。厳しい面持ちから一転彼女は私の手を取って微笑んだ。



「勝負を挑まれたら買わなきゃ相手に失礼よ」



その言葉に私は脚に力を込めて加速させた。ありがとうを残して―――。
何故彼女が私を見送ったのか、今はそんなことを考えなくていい。私は、私を認めてくれた緑谷出久に応えたい。その気持ちだけが先行し、彼が地雷を発動させ妨害をする際、上空へと避難した。ひとり飛び出す彼の背中を追いかけるように地面に着地し並んだ。
恐る恐る顔を覗くと出久くんは挑むように笑っていた。だから私も返した。もう笑い方なんて忘れてしまったけど、上手く返せたらいいなと思う――――。



「雄英体育祭1年ステージ!序盤の展開からこの結末を誰が予想出来た!?今世紀最大にして歴史上一度も出くわさなかったこの結末!さァ今一番にスタジアムに帰って来たその二組――――…緑谷出久と邪神禄の存在を!!!」




初めて主人公視点を書きました。書き方もやや工夫しました。
………回収するのが難しいのと削るべき部分も選ぶの難しいな。


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