青の破軍

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「ねえユージン、ディズニーランドって知ってる?」

「はあ?」

「夢とネズミの王国でね」

「夢とネズミの王国!?」

「映画でしょっちゅう黒いフード被った熟女がフヒフヒ言いながら大釜をかき回してね」

「夢とネズミの王国で熟女が大釜をかき回す!?」

「毒リンゴを作って白雪姫に飲ませて殺したの」

「夢とネズミの王国で熟女が姫を殺す」

「倒れていた白雪姫を7人の小人が発見して、死体愛好家の王子さまがそれを保護……」

「フェリオそれ、随分片寄った言い方してるよね」

「はい」


でも間違ったことは言ってないでしょ。たぶん。

ちぇっ、ユージンはなんでもうのみにするから面白かったのに。邪魔しやがってビスケットめ。

ユージンは「なんだよ騙しやがって!」とおこ気味だ。ていうか少しは疑え。


「つまり、俺たちはその熟女みたいだっていうのか?」

「だってこう、錬金術師みたいなことするの楽しいじゃん?」

「ただ眠り薬混ぜるだけだろ」


ただ今、私とビスケット、ユージン、ノルバは夜ご飯に薬を混ぜてます。

アトラ達が作ってくれた温かいスープにですよ。ごめんねアトラ達、せっかくのご飯を薬入りにさせて。

これをみんなに食べてもらって、あとはオルガやミカちゃん達と、みんなに一泡吹かせてやるんだ。

……でも、一度くらいやってみたくない? 魔女ごっこ!

大鍋にカボチャとか混ぜたり、ほうき乗って飛んでみたり、杖持って「エクスペクト・パトローナム!」とか。それこそディズニーで言えば「ビビデ・バビデ・ブー」か。


「ほかにも、地球じゃ世界的に有名な10万ボルトを体から出すネズミと喋るネコを飼ってる話とか……」

「体から10万ボルトを出すネズミ」

「ユージンもシノも、うのみにしなくていいよ」

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