青の破軍
7
充分にバルバトスの準備をしてから、戦いは始まった。
ふたつのMSは、うっかり私たちを攻撃しないようにだいぶ距離を取っている。それでもMSはでかいから、その戦いはしっかり見ることができる。
私たちは全員、固唾を飲んでそれを見ていた。
戦況はほぼ互角だ。どちらも一歩も引かない戦いをしている。
「おいニュータイプ! お前はどっちが勝つと思う?」
ふいに、オルガが叫んだ。
「ミカちゃんでしょ」
「根拠は?」
「ない」
ニュータイプの予知能力とかそういうのじゃない。ただ、この戦いは絶対に三日月が勝つ。そう確信していた。
ギャラルホルンとかいう組織がどれだけ戦争慣れしているかわからない。
けれど、三日月はいかにも歴戦を積んでいる風体のおっさんと互角に戦ってる。
時代を担うのは若者なんだ。理由は、それだけでいいじゃないか。
私はオルガを見た。オルガは笑って、また戦いを見始めた。
戦いはそんなに長くはなかった。
バルバトスの武器が、相手の一撃によって宙を舞った。地上に突き刺さると同時に砂ぼこりがこっちまで来る。
「この風、この肌触り……ゾクゾクする」
ああ、あの中に居れたらどんなに楽しいだろう。
私も戦士なのだ、根っからの。
バルバトスが武器を取ろうと屈んだ。もちろん敵はそのスキを見逃さない。大きく斧を振り上げてトドメにかかった。
その大振りがいけなかった。バルバトスは、がら空きになったコクピットめがけて武器を突き刺したのだ。
勝敗は決した。
勝ったのは、三日月だ。
to be continued…….
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