たるちと初対面


たるち:限定SSRが出ない。助けて。



たるちがこんなLIMEをしてきた。

たるちとは廃課金ゲーマーであり実況者でもある。いろんなゲームに手を出しており常にランキング上位の廃ゲーマーである。

そんなたるちとLIMEを取り合うような仲になったのは据え置きゲームでたまたまマッチングした時に初めてなのにも関わらず息ピッタリなコンビネーションプレーが決まりフレンドになってそれから一緒にやるうちにSNSで連絡を取り合うようになって今に至る。


マジか。私が引いてあげようか?


たるち:マジでお願いしたい


相当参ってるようだ。前すかいぷした時に偶然にも私もたるちも都内住みということが発覚したので会おうと思えば会えるのだ。たるちは私の顔は画面越しで知っているけれど私はたるちの顔は知らない。声しか知らないのだ。声はイケボなんだけどね。普通にイケメンなイメージだけどどうなんだろう。別に顔なんてどうでもいいけど。



じゃあ、明日辺り会う?


たるち:え、マジで引いてくれんの?

うん。私は別に構わないけど。
たるちがいいなら


たるち:俺も#名前#がいいならお願いしたいんだけど



SNSで有名な話だけど、私の自分のガチャ運は波があるんだけど他人の端末でなら20連で必ずそのお目当のキャラを引くことが出来る。その強運、自分の端末に実装してほしいけど。


そんなこんなで急だが、明日お互いの仕事が終わったら会うことになった。









仕事を終わらせ、待ち合わせの店に向かう。店はたるちが選んで予約してくれた。さっきLIMEが来て少し遅れるそうなので先に入って待つことにした。

迎えてくれた店員さんに予約していた茅ヶ崎と言って個室に案内してもらう。お洒落な店だなあと思いながら座った。こんな店を選ぶなんてイケメンかよ。


とりあえずたるちが来るまでソシャゲの燃料消費でもするかーとアプリを起動したと同時に個室のドアが開いた。さっき私を案内してくれた店員さんに連れられて来たのはスーツを纏った王子様系イケメンだった。マジかよ。


「遅れてごめん。」
「ううん、私もさっき来たところだから大丈夫」


「ええと、とりあえず初めまして?」

「はは、確かに会うのは初めましてか。改めてたるちこと茅ヶ崎至です。よろー」

「いやいや、見た目と口調合ってなくない?」

「そう?ギャップ萌えってことでいいんじゃない?」

「自分で言っちゃうのか…まあ、いいや。ちぇること湊 #名前#です。よろしく」


王子様系イケメンフェイスでいつものよろーって言われると調子狂うわ。



「さっそくなんだけど、」
「うん?」
「ガチャ引いて?マジお願い」
「必死すぎw」
「いや、何百連したと思ってんの」
「知らないけどさ、とりあえず貸して」
「ん。」
「…ってSSR出ないのブラウォーか。私、20連で3枚出た」
「は?運営かよ」
「ブラウォーは引き良いんだよね」

ブラウォーのガチャ画面を開いてスマホを渡された。

あ、なんか単発で来る気がする。
迷わず単発をタッチした。


「は、ちょ、単発じゃなくて…!!?マジか!キタコレ!!」
「ふふ、さすが私」
「は?単発で引くとか運営かよ…」
「ありがとうは?」
「ありがとうございます」
「よろしい。1枚でおっけ?」
「1枚は自力で引いたんだけど、欲を言うならあと1枚必要なんだよね」
「よし、任せて」
「マジか」
「うん」


今日の私はついてる、はず。
今度は11連をタッチする。



「…、どう?」

私がタッチしてすぐスマホはたるちの手の中に行ってしまったので結果がどうだったかわからない。


「…マジか。」
「え、ダメだった?」
「いや、逆。最高!ガチャ代打要員ゲット!」

顔を上げたたるちはさっきと違い生き生きしていた。本当爆死してたのね。

「よし、ガチャも引いたしご飯食べよ!」
「りょ」


りょ、とか言いながら早速出たキャラの育成始まっちゃったんだけど喧嘩売ってる?



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