ちぇると初対面
今回の限定SSRの2枚目がなかなか出なくて爆死して、それを#名前#に言ったら引いてくれるとのことで今日お互い仕事が終わり次第、会うことになった。仕事関係で何回か使ったことのあるお洒落な個室が売りの店を俺の名前で予約をした。
少し遅れそうだったからLIMEでそれを伝えれば、もう着いてるとのこと。意外と遅れずに着いた店に入り、店員さんに連れてこられた部屋に入れば、画面越しに見るよりずっと綺麗な女が何かのアプリを起動していた。ああ、#名前#だ。どんなに見た目が良くても中身は実は俺と同じゲーマーで。
「遅れてごめん。」
「ううん、私もさっき来たところだから大丈夫」
とりあえず時間的にはあまり遅れてはいないが#名前#より遅いのは事実なので謝った。
「ええと、とりあえず初めまして?」
「はは、確かに会うのは初めましてか。改めてたるちこと茅ヶ崎至です。よろー」
「いやいや、見た目と口調合ってなくない?」
「そう?ギャップ萌えってことでいいんじゃない?」
「自分で言っちゃうのか…まあ、いいや。ちぇること湊#名前#です。よろしく」
#名前#の前だから作ることはめんどくさいからしない。何度もすかいぷで素の口調で話してるからね。
「さっそくなんだけど、」
「うん?」
「ガチャ引いて?マジお願い」
「必死すぎw」
「いや、何百連したと思ってんの」
「知らないけどさ、とりあえず貸して」
「ん。」
「…ってSSR出ないのブラウォーか。私、20連で3枚出た」
「は?運営かよ」
「ブラウォーは引き良いんだよね」
ブラウォーを起動してガチャ画面を開いてスマホを渡そうとすれば、そんなことを言ってきた。20連で出るとかマジで運営かよ。1枚目出たの70連目だぞ。まあ、つべこべ言ってもしょうがない。ここで#名前#がちゃんと引いてくれれば20連で出たことは目を瞑ろう。
スマホを渡してそれを受け取る#名前#の綺麗に水色で塗られた爪が目に入る。ああ、やっぱり#名前#だわ。確かこの色、#名前#が推しているえりちの色だわ。
そんなことを思いながら自分のスマホの画面に視線を移せば#名前#は11連ではなく単発をタッチしていた。
「は、ちょ、単発じゃなくて…!!?マジか!キタコレ!!」
「ふふ、さすが私」
「は?単発で引くとか運営かよ…」
「ありがとうは?」
「ありがとうございます」
「よろしい。1枚でおっけ?」
「1枚は自力で引いたんだけど、欲を言うならあと1枚必要なんだよね」
「よし、任せて」
「マジか」
「うん」
#名前#の人差し指が俺のスマホの画面をタッチした瞬間、スマホを奪う。
「…、どう?」
「…マジか。」
「え、ダメだった?」
「いや、逆。最高!ガチャ代打要員ゲット!」
今までの爆死が嘘かのように11連であっさり2枚出るとは…俺の今までの爆死はなんだったんだ。SNSでも有名な#名前#の他人の端末での引き運は本当みたいだ。次からは#名前#に頼もう。
早速育成しないとな。
「よし、ガチャも引いたしご飯食べよ!」
「りょ」
りょ、とか言いながら育成してれば、#名前#が今引いたやつ売り払うよ?なんて脅してくるから仕方なく中断した。
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