僕の宇宙攻防戦
僕の前には宇宙が広がっている。目を閉じるたびにそれは大きく広くなり、様々な星と惑星が宙を漂っている。それはまるで夜に深海へ潜り込んだ時、水面を見上げた瞬間に見える、揺れる光の集合体のよう。
僕はよく、目を閉じてその映像にうっとりと心を奪われている。授業中、休憩時間、食事中、帰宅路でも僕は、その宇宙を見ている。
果ての見えない宇宙を眺めていると、何故か安らぐ。自分はこんなちっぽけな存在なのだと認識する事が出来て、それならば何をしても平気だと気楽になれる。
広い夜の中に漂う惑星の美しさ。球体の周りを覆いかぶさっている霧と、木々の緑と土の色。想像だとはいえどもそれは、僕の中で生きていた。
しかし、そんな僕の宇宙を壊す者がいる。僕はこっそりとその人物を、悪魔と呼んでいた。創造主である僕が神様だとしたら、彼はそれの邪魔をする悪魔に違いないだろうとそう思うからだ。
彼は、僕が目を閉じるたびに僕の想像の邪魔をする。そうされると意識が集中できなくなり、僕の宇宙が遠ざかってしまう。
現実へと戻されてしまう怒りを僕は、彼が僕へ邪魔をするのと同じ行為で発散させる。意地悪をされたら仕返しをする。これは僕の決めた、掟。
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