腹を抱えて笑い出すその顔はやはり、可愛い。

「何でお邪魔しますだ、馬鹿め」

 くくくっと、まだ喉の奥で笑いながら目を細めてこちらを見つめていた。

 キスがしたい。

 立ち上がり、机の上に座っている身体へ覆いかぶさる。驚いたようにしている瞳先輩の唇へキスをしながら、もう爆発したくてたまらないと唸っている暴れん坊へゴムを被せ、中心を掴んで穴へとあてがった。

 舌で、瞳先輩の唇を舐めるとすぐに、応えられた。空気が入らないように隙間無く唇を合わせて、唾液を交換する。頬の内側の柔らかい部分を舌先でつつくと、瞳先輩の肌が更に熱くなったような気がした。

 穴にあてがっていたブツを、中へと挿入する。

 みちみちっと、無理矢理襞を広げるような感覚がして、その締め付けだけでイってしまいそうになった。

 いったん腰の動きを止めて堪える。

 その間、萎えてしまっていた――申し訳なくて胸が痛い――瞳先輩のバナナを掴んで、根元をゆるゆると抜く。

 舌の動きが僅かに鈍くなったような気がする。意識が下半身に向いたのかもしれない。

 また、被っていた皮を今度はこっちが剥く。ああ、何たる喜びか。

 亀頭からずりっとカリの下にあるくびれ部分まで親指を使って擦ると、皮が綺麗に剥かれて、頭がはっきりと出てきた。

 裏筋をこねるように触ると、バナナが大砲へと変化を見せてくる。

 もう、我慢できない。

 合わせた唇を離して、瞳先輩を至近距離でじっと見つめる。

「全部、入れます」

「おせぇ」

 ああ、憎まれ口っ。でもその頬は赤いです。唇なんて、唾液に濡れて艶やかに輝いています。瞳は涙で潤んでいますよ!

 この胸に込みあがるもの。すごい幸福感。今まで感じたことがないほどに、優しい、でも泣きたくなるような――

「だから、おせぇって言ってるだろうが!」

 と、じっと見つめている間に腰を強く掴まれた。そのまま瞳先輩の方へ引き寄せられてゆく。

 大砲がそれてしまいそうになり、慌てて狙いを外さぬよう根元を手で支えた。

 襞に、皮が剥かれる。中のぐにゃりとした感触が、凄い。亀頭やカリの隙間を埋めるようにして絡みついてくる。

 強い快感に、閉じてしまいそうになる目蓋。勿体無いと、痙攣させながら必死に見開き瞳先輩の顔を見つめる。眉間に深い皺が寄っている。目尻から零れ落ちる涙は、痛みを堪えてのことだろう。うっすら開いている唇。そこからちらりと見える舌が艶かしい。

 好きだ。大好きだ。愛しています。本当に、心から。口に出したい。けれど、何故だか出せない。

「何でだろう。凄く、すごく好きなのに。どうして素直にっ、口に出して、愛してるっ、瞳、って言えない――」

「てめぇ」

 な、何だろう。今、地鳴りをしそうなレベルの唸り声が聞こえたような気が……

「今、何って言った? おい」

「あれ? 瞳先輩の顔がどうしてそんな、般若みたいになっているんです――」

 と、気がついた。声、出て、いました、か!?

 その瞬間、中へ完全に入った。流れてくる冷気に怯え、少々萎えたからだろうか。

「っあぅっ!」

 首を仰け反らせる瞳先輩。股間が再びフルバーストしようと膨らんでしまう。

「すみません!」

 もう堪えられない。堪えたくない。この愛しい人へ、自分の遺伝子をゴム越しでもいいから注ぎ込みたい。

 腰を引き、激しく打ち付ける。机の上へ手をついて只管腰を振ると、瞳先輩の両手が首の後ろへ回ってきた。

 ああ、これが。これこそが――愛。あ、いっー!?

 きゅっ、と首を強い力で絞められる。瞳先輩、そんな趣味があったなんて――

「下の名前、呼びやがったな……友博よぉっ!」

 全ての動きが止まる。首を絞められながら捻られ、瞳先輩の、下腹部にも力が入ったのだろう……穴がぎゅぅぅっと締まって、ああ、ああ、もう――

 思い切り膝で腹部を蹴り上げられた瞬間、尿道からぶぶぶっと弾が出てゆく感覚がして、床へ吹き飛ばされる。

 朦朧とした意識の中、瞳先輩の慌てたような表情が見えて……そんな顔も、可愛いですね。

「ば、馬鹿野郎。俺が自分の名前を嫌いなこと知ってんだろうがおい! よ、呼んだてめぇが悪い――糞っ、すまん。つい頭に血が上って……って、おい、まさか、気絶とかすんなよ!?」

 机から飛び降りたのか、倒れこんだ横へと駆けつけてくれるその優しさ。

 けれど、肩を掴んで揺さぶらないで下さい。意識がもっと遠のいて――

 脳の奥に吸い込まれるよう、現実が消えてゆく中。

 最後に聞こえたのは瞳先輩の「畜生。俺も愛してるよ」という吐き捨てるような声だった。



END
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