T

 ̄ ̄ ̄ーーー_____

「赤い花が舞い散る世界で『君』と『僕』は銀風の中で『泣いた』」

黒い闇の中、少年とも少女とも区別のつかない子供が1人で歌っている。
時よりこの子の声は不思議な事に、同じ声が2重に重なる。


「いつしか『私』は壊れた...だから『僕』は存在する」


すると突然、青い風が吹いた...目の前に現れたのは小さな青い龍。

「光希、また泣いてるの?」

この不思議な子供を“光希”と呼んだ小さな青い龍。
彼を自分の小さな両手に包んだ光希は無表情に呟いた。

「泣く?泣くって何?」

無表情とは裏腹に、光希のスカイブルーの瞳は揺れている...。

「ボクの願いは光希が笑ってくれることだよ」

光希を見つめ、またその先を..“過去”を見つめる青い龍。
そんな彼を、光希は首を傾げながら不思議そうに見つめた。

「おい、青龍!ボクの光希に何してんのさ!?」

また突然に現れたのは、銀色の狼。彼もまた小さく、銀色の風を纏って光希の頭の上に乗った。

「何を言ってるの?光希は“ボク”のだよ、銀狼」

バチバチっと彼らの間には火花が散っている。
ケンカを始めた彼らを見て、光希はぎこちなく笑った...。



「光希は青龍も銀狼も大好き!」





















たとえこれが、私のただの“夢”だとしても_______

[ 11/21 ]
[*prev] [next#]
[戻る]