01

「どうしたの峰田くん」
「知ってるか緑谷」
「何?」
「そこに見えるお方を」
「え?」
「あのお方がいらっしゃるなら俺も呼んでくれよ」
「上鳴くんまで、どうしたの」
「サポート科の先生に、すっげぇかわいい先生がいるんスよ」
「俺も1度しか見た事ねぇけど、新零先生って名前で呼ばれてて、本当かわいいんだよ」
「セクシーも大事だが、キュートも大事なんだ」
「う・・うん」
「あ、どんどんこっちに近づいて来る・・・どうする峰田」
「ここは、俺たちも近づいてさりげなくすれ違いながら挨拶を」
「緑谷も来い」
「え、何で僕までっ」
「いいからいいから」
「ほう、お前らは、あーいう女がタイプか」
「学園のアイドル教師って感じで、いいじゃないですか・・・・って、あ・・・あい」
「ひっ・・・・」
「わかってるじゃねぇか上鳴、そんな先生と2人っきりの教室で・・・って2人ともどうし・・・」
「緑谷もか」
「ぼ、僕は偶然、その・・・」
「隠さなくていい・・が、ま、ほどほどにしとけよ。特に峰田と上鳴」
「はい」
「はい・・・・相澤先生は、セクシーとキュートならどっちがタイプ何っすか」
「俺か?そうだな」
「あれ、消太さんだ!!あ、1Aの子?」
「お前、今日、出勤だったか?」
「急遽、来れないかって頼まれて」
「「(間近で見ると、かなりやばい)」」

峰田くんと上鳴くんがこれでもかっていうくらい目を見開いて、赤い顔で新零先生を見ている。確かに遠目に見ても綺麗な先生だとは思ったが近くで見ると、なおさらだ。かなりかわいい。年上の人に使うべきではないのかもしれないが、直視するのをためらうくらいにかわいい。でも、どこかで見たことあるような気がする。
それにしても、今、相澤先生のこと、“消太さん”って呼ばなかっただろうか

「今の俺のクラスの生徒」
「は、初めまして緑谷です」
「上鳴って言います」
「峰田です」
「初めまして。サポート科で非常勤講師をしています、新零です。よろしく」
「新零先生、間近で見ても本当かわいいっすね」
「それは、それはどうもありがとう。この人のクラスなんて大変でしょ?」
「い、いやそんなことないっす」
「だって、いい生徒ですね」
「・・・・・・」
「あの、新零先生って名字はなんて?」
「・・・・あれ?サポート科じゃ、もう皆知ってるし紛らわしいから名前で呼んでもらってるんだけど。ヒーロー科までは話、行ってなかったんだ。消太さんのクラスなのに」
「え?」
「わざわざ言わねぇよ」
「そうなの?」
「え、それってまさか」
「まじかよ」

2人が一気に青ざめた。とんでもない人の前で、あんなことを言ったのだ。相澤先生は、もう一度「だから、ほどほどにしとけって言ったろ」とニヒルに笑いながら新零先生と一緒に職員室の方へ歩いて行った。



「名字は相澤なので、学校では新零で通ってます。紛らわしいからね」
「それって、相澤先生の」
「俺の嫁だ、間違っても手出すなよ。出したら除籍処分な」

今回ばかりは、合理的虚偽という落ちは絶対にない
相澤先生が去った後、「あれで人妻って・・・なんか、エロいよな」と言った峰田くんに僕は青ざめた

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