13



「ミッドナイトさん、そこ俺の席です」
「戻って来たわね!1つ聞きたいことがあったのよ」

前々から一度、彼女とカラオケへ行きたいという話を何人かとしていた。藍川ニーナの生歌を聞けるチャンスをやはり逃したくはないというところもあるが。新零ちゃんと食事に行ったり、遊びに行ったりと、かわいい後輩と仲良くなりたいと思うところもあった。
傍から見ても彼が新零ちゃんを大事にしているのは分かるが、実際のところどういう結婚生活を送っているのかまで詳しくしらない。淡泊そうにみえては実は束縛が強かったりしたら、新零ちゃんを困らせるようなことになるかもしれない。・・・束縛されている彼女もいいかもしれない。逆もありかしら。

「新零をカラオケに誘ってもいいか?」
「そうよ」
「どうして俺に聞くんですか?」
「あら、いらなかった?」
「そんなに束縛してるように見えますか?」
「大事にしているのは見ててわかるわよ。だから、一応。新零ちゃんの立場が悪くなるのは心苦しいじゃない」
「そうですか。いいですよ」
「あら、ならついでに聞くけれど」
「?」
「本人の曲をお願いしたら歌ってくれる?」
「喜んで歌いますね」
「藍川ニーナの生歌なんて贅沢よね・・ってことは、歌ってもらったのね」
「まぁ、最近はありませんけど・・ただ」
「ただ?」
「あいつ何歌わせても上手いうえに、他人の曲を喰うので覚悟した方がいいですよ」
「くう?」
「何歌っても、あいつの曲になるんです」
「たしかにあの歌唱力だものね」
「しかも、胸に来る感じが続くので苦しくなりますよ」
「・・・・・・」
「?」
「貴方、本当に新零ちゃんのファンね」
「・・・・・」
「あ、新零ちゃん戻って来たわ」

藍川ニーナ、私達の世代では学生時代がちょうど彼女のアイドル時代と重なるため、ファンが多い。男性ファンが多いが、ライブ会場では女性ファンも一定数いると聞く。彼女の歌声に魅了されるのに性別は問わないのだろう。まぁ、本人が可愛らしいので男性ファンが多くなるのもよくわかる。本当に何がどうなったら、彼と結婚に至ったのか・・・詳しく聞きたいところだが、それはおいおいだ。

ALICE+