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誰に相談していいのか、わからなかった

深く考えるのも嫌になって
それからの的場の態度も前と何も変わらなくて
まだ時間があるのなら、それからにしようなんて
甘い考えだった

『みんな忙しそう』

「冬が近づいて来てるから仕方がない」

『大変ね』

「そういえば、噂聞きました?」

『西の森の話?』

「知っているなら、話は早い」

『今日行くの?』

「あぁ」

『なら、私も行く』

「久しぶりだ」

『確かに、そうね。最近、的場も忙しかったし』

「明翠は、引きこもっていたみたいだが?」

『勉強してたの。別に引きこもってたわけじゃない』

倉庫の奥の棚にあった書物を見つけたので
最近、そればかり読んでいたのだ

西の森の噂は父から聞いていたし
それが、どの程度かというのも聞いていた
丁度いい肩慣らしになりそうだ

「足手まといにはならないでくださいよ」

『誰が足手まといよ。捕るのは私』

「そうですか、まぁ、そう簡単には譲りたくない相手なので
 手加減はできませんよ」

『手加減?変なことをいうのね。私の方が捕った数は多いのに』

「そろそろ明翠の時代は終わりじゃないですか?」

『そう言うのは、勝ってから言った方がいいと思う』

「やってみればわかる」

『その自信、へし折ってあげるわ』

「いつになく強気ですね」

『試したいことがいくつかあるのよ』

「それは、楽しみだ」


結局、捕ったのは私だった
少し不機嫌そうな的場と別れて
私は機嫌よく家に帰った



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