神機を握るしらたまの手は震えていた。

彼女は今日、初めてゴッドイーターとして戦場に出るのだ。
恐怖がしらたまを包み、頭の中では最悪なパターンばかりがリピートされる。

場所は異常気象で雨が降り止まない『嘆きの平原』。

頭から雨を被り、体中が冷えていく。彼女の持つ神機が小さくカタカタと音を立てていた。
冷たい体温に恐怖も組み合わさり、手足が震えるのだ。どうしようもない恐怖にしらたまはぎゅうと身を固める。

「気楽にいけよ、新人」

この班のリーダーであるリンドウが見かねてしらたまの肩を軽く叩いた。

しらたまは驚きつつも、コクコクと頷いた。

ちらと隣を見ると、先輩にあたるサクヤとソーマの姿も見えた。
あとは自分と同期のコウタの姿も。

サクヤは微笑みながらリンドウと同じようにしらたまの肩を優しく叩いた。
ソーマは気にしていないようで、フードを深く被ったままだ。
コウタはしらたまと同じく緊張はしていたが、その顔に強張りは見られない。

しらたまは手元を見つめる。自分の神機が小さく呻いた気がした。

(…うん、大丈夫。大丈夫ですよ)

「行くぞ」

リンドウのかけた声にしらたまは顔を上げた。凛と輝いた瞳には、先程までの恐怖はない。

「はい、行きます!」


(任務開始)

雨の向こうでアラガミの咆哮が聞こえた。

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