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『ねぇ、好き。付き合って?』



君が、俺の目を見てる

俺も、君の瞳を捉えてる




君は少し俯いて___口を開く





「ごめん、なさい」






…………あーあ…






『もー!!!まだだめなの?!

これで90回目なんだけど?!』




「なんで数えてるの……」




『もーそろそろ付き合ってくれてもよくない?』




「あのね、ずっと言おうか迷ってたんだけど」




急に、真剣な顔をする彼女。



『……なんだよ』











「私、好きな人がいるんだ。」




『…え?




って
うっそーん、知ってたよ』




「えぇ?!そうなの?!」



『うん、お前わかりやすすぎだから。』




「……まじすか」




『そーゆーところも好きなの{emj_ip_0177}』




「はーい、何も聞こえない」




『俺のプチ告白もスルーかよ!』




「なんかね、慣れた」




『あーあ、俺にしときゃあいいのに』




「だって私の好きな人、かっこいいじゃん?」




『シゲなんてかっこいいだけで運動音痴じゃん』



「ちょ、名前!伏せたのに!!



……まぁ、それがギャップなの!!もー、わかんないかなぁ?!」




『ちっともわかんねぇ。』





俺に自分の好きな人の話をしてるこいつは


" 俺の好きな人 "


幼稚園からずっと一緒にいるけど
"真尋"なんて呼び捨てして仲良くしてるのはこっちだけ





真尋は、小さい時から俺のことを"手越くん"って呼ぶんだ。





『真尋ちゃん!すき{emj_ip_0177}』





「ごめんね、わたしてごしくんじゃなくてたかひさくんがすきなの。」




って俺の人生初の告白は無惨に散った。





中学の頃もめげずに



『真尋、やっぱり俺お前のこと好きなんだけど!』



「……私理科の小山先生が好きなの。ごめんね。」


ってやっぱりふられた。



このあとも散々告白して


現在に至るわけ。

ただいま90回という記録更新中。





しかも、運の悪いことにこいつの好きな相手は



「おい、手越またフラれたのか〜?」




俺の親友の

加藤シゲアキ。





『うるせーよっ!90回目の失恋』



「お前も懲りねぇな〜
ごめんね?真尋ちゃん。」





こいつの名前なんて、お前が呼ぶなよ




「い、いやっ……////」




ほら、こんなに顔赤くしちゃって




……俺の前ではそんな顔したことないくせに、

なんて小さな嫉妬。







『……何がダメなんだよ』






"ん?なんか言った?"


なんて盛大にハモりやがって………




『シゲにはぜーーーったい教えねぇ!』




「なんだよ、別にいいし

あ、次移動だぞ!」





『うっそまじ?

教科書……教室だぁ〜』






「ふっふっふ、そう言うかと思って持ってきてやった」



こーゆー優しい奴だから

嫌いになりたくてもなれない。


そもそも好きな人の好きな人ってだけで、嫌いになんてならないけどね。





『うそ〜ん、シゲが優しい』



「ふふっ」



「あ、わらった。」



「えっ、あっ……ご、ごめん…?」



少しキョドった彼女も可愛くて



『ほらシゲのせいで好きな子に笑われちゃったじゃん』



「俺のせいじゃない

ほら行くぞ。バイバイ、真尋ちゃん」





真尋は俺らが見えなくなるまで…

じゃないな。



シゲが見えなくなるまでずっと手を振ってお見送りしてた



俺だけの時はバイバイって言ったらすぐに教室に戻るくせに。





俺だって

傷付くよ?




悩みなさそうとか言われるけど


俺だって人間だもの。





フラれたら傷付くし涙だって出る

…もう、諦めた方がいいのかなぁ




なんて、何回思ったことだろう。



結局あの笑顔を見ると引き戻されちゃうんだよね。




『…はぁぁあ……』




「お前がため息なんてな〜

変な感じだわ〜




ま、ため息つくのは好きな人のことでだけだもんな」




ってなんだか満足気に話すシゲ。




『え、俺他のことでため息ついてない?』





「だってお前メンタル強いし。恋愛以外では」





『あー、なるほどっ』




なるほど?なのか?
まぁええや、うんうん。




『はぁ〜あいつ好きな人のこと諦めてくんねーかなーーーー』





伸びをしながら


そう叫ぶ




「え、好きな人いんの?」



『……』



……はぁ、今すぐにでもバラしてやりたい




『…』




もしバラしたら




"えっ、まじで?
………でもっ、手越が…好きだし……"




ってシゲは断るんだろうか





そしたら、あの子は



涙を流して悲しんで
俺のもとへ来てくれるのか




……うーん…………





『…うん、ないな』




「ん?なに?」





『……俺とシゲ何が違うんだろうって話』





「全部違うじゃん」




『頭いいのは同じだし』




「自分で言うなよ

ま、俺は運動神経悪いけどな」





……そこがギャップらしいですよ。
萌え萌えポイント。





『……なら俺も運動神経悪くなろうかな』




「お前喧嘩売ってんのか」



『……だってぇ』



「俺はお前が羨ましいよ{emj_ip_0096}」




わりぃわりぃ(笑)って謝ったのに

シゲの機嫌はなおんなかった。(笑)






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