4



…そして数日後…



『あ、シゲ〜

真尋が放課後話したいことあるんだって』


「へぇ、真尋ちゃんが?
どこで?」


『んーとね、放課後こっちまでくるって言ってた』



「おっけ。何の話だろ……」



『さあ?知らね、俺の話じゃない?』



「お前の話〜〜?
ま、いいや。わかった放課後ね。」



『……おう、』






______
____





真尋、頑張れよ。



放課後になる前に
そう言いたかったけど



気付けばあっという間にその時間。



『んじゃ、俺先帰るから』



「え、待っててくんないの?」




俺が好きって話だったら照れちゃうから{emj_ip_0177}


とシゲに言い残し




そそくさと教室を出る



『あ〜……このまま帰るのもな…』





……ガチャ




『放課後だもんな、誰もいねーや』



屋上へ繋がるドアを閉めながらそう呟く。




『よ、いしょ』




地面にゴロン、と寝転び


空を眺める




『あいつ今頑張ってっかな……』

















真尋side



手越くんに


"話あるから放課後待ってて欲しい"




と加藤くんに伝えてもらった。






加藤くんは、このドアの向こう側にいる

…はぁぁ……と深呼吸。







ふと手を見ると


「やば……手、震えてるよ…」




手越くんもいつもこんな気持ちだったのかな……

ほんと、すごいなぁ。




……





「よし、」






ガラッ


ドアを開けると



「あ、真尋ちゃん。」





愛しい彼の姿が。




「話ってどーしたの?」




「あのね、私ね……」





ん?って首をかしげて優しい笑顔。





「……っ、」



「ど、どーしたの?」



涙が出そう、どうしよう。

……頑張れ、私




「……ずっと前から、加藤くんのことが好きでした」



「…えっ、」



「…急にごめんね

覚えてるかな〜?
加藤くんと初めて会ったのは購買で、私財布忘れちゃって…


あたふたしてたら初対面の私に笑顔で貸してくれて……

そっからかな?



優しいあなたのことが


ずーっと、好き。」




「そう、だったんだね
ありがとう。……嬉しい。」




って切なそうに笑うから



「……っ…」



涙が溢れそうになる


泣いてるところなんて見られたくなくて
思わず彼に背を向けてしまって。




「あの、真尋ちゃん。




……その、ごめん。」




「……ううん、大丈夫。」



嘘、

全然大丈夫なんかじゃ、ない。



視界がぐちゃぐちゃで
絶対振り向けない



「俺、好きな人が…いるんだ




だから…「うん、知ってる、だからね


気持ちだけ……伝えたくてね、だから…大丈夫。






大丈夫だよ。」





私は、そうぽつりと呟くことしかできなくって





「…ありがとう。真尋ちゃん。」









ありがとうなんて……言わないで…








「……じゃあ、私もう行くね。」






彼の方を振り向かず


ドアへ向かう









ガラッ




……ピシャン








教室を出た瞬間走り出して



角を曲がり、座り込む






「……うっ、はぁ……っ、…うぁ……


……うっ、…ひっく、










あー、ダメだダメだ!!」





こんなところで泣いてちゃダメだ。




…手越くん、手越くんに連絡しよう










手越side





屋上で寝転びながらいろんなことを考える




『……シゲにどんな顔見せてるんだろ

ちっ、悔しいわ』




まぁ、いろんなことと言っても
ほとんど真尋のことだけど。




『はぁ……』





綺麗な青空に鳥が2羽、
飛んでいて







空飛べたらどんな感じなんだろなー……なんて
子供っぽいことを考えてみる









その時


ブーッブーッと
ポケットの中でケータイが振動する



『……誰だろ』



画面には

【真尋】

の文字。



『…もしもし?』



「……あ、手越くん、私…頑張ったよ。」




少しいつもと声が違う




『……そっか。よく頑張ったね。』




あえて何も言わなかったけれど




「…ねぇ、今、どこにいるの?」


『え?屋上だけど… 「わかった、待ってて」




ブチッ
ツー…ツー…ツー……




『え、来るの、かな』




しばらくすると

バン!!!と勢いよくドアが開く




『うっ、わ……びっくり…』




___真尋は下を向いていて

小さく鼻をすすってるような音が




「……っ、てごし、く…」



『……泣くなよ』



静かに近付き頭をポンポン

彼女はゆっくり近付いてきて




「……うっ、…分かってても、辛いん……だもん…」




って俺の胸にぎゅーーっと顔を押し付けるから



『…』




この前は我慢できた気持ちが

抑えきれなくなって




「……っ、わ…」






力強く、優しく真尋を抱きしめていた




















『…好き。』










「今、言うなんて……ずるい…」



『……ごめん。


真尋
よく、頑張ったね』




俺のその言葉で真尋の中の何かが

プツン、と切れて




「……っ、てご、しく……」








うわぁぁあって子供みたいに泣きじゃくった。






涙が俺の頬も濡らしてたことに気付いたのは




「……手越くんまで、泣かないで…?」



って愛しい人が俺の涙を拭ってくれたからだった。








次へ



ALICE+